シネマ歌舞伎『ワンピース』

群像劇の『ワンピース』が、映像となった場合はどうなるのか。

ダイジェスト版として、観劇を再生する為にもとおもって見たのですが、最初から観劇で観た位置とは違う映像が沢山あり、映像としての『ワンピース』を楽しめました。

歌舞伎の見得の表情が皆さんいいのにも驚きでした。動きが激しいのにここはきめるところとしっかりときまっています。着地成功というところですが、着地が結構多いですから映像のための編集があったとしても歌舞伎の筋は通していました。

かなり削除されている部分もありますが、その部分は上手く説明を加え、初めて見る人への配慮も考えて編集されています。なるほどこう編集できるのかと新たな見方ができました。アニメ的な画像も加えられていましたが、違和感がなくかえって、映像ならではの弾みとなって映画を楽しんでいるという感覚なのですが、あのクジラとルフィの波乗りの宙乗りは劇場の中ですが、どこから観ればこう観えるのであろうかと、不思議な空間に映りました。

ルフィが膝を曲げてサーフボードをくるっと後ろに返すのが格好良くてさらに笑えます。猿之助さんがしらっとしてやってのけ、皆があれっとおもってざわつくのですが、そのまましらっとしているのがかえって可笑しくて宙乗りの楽しさを増してくれます。と書きつつ本当にそうだったのかなと近頃疑問になることが多いのです。書きつつ自分の感覚にはめ込んでいるのではと懐疑的になるのです。自分の感覚で楽しまないとつまりませんから、人の感覚は信用しないほうがいいです。

ルフィの腕が伸びるのを知りませんでしたので踊りの時に、ルフィを真ん中にして何人かが横に腕を組んで繋がり、ルフィの腕が伸びたように演出したのも、今回は印象的で、そうであったかと納得して楽しめました。単に腕が伸びるだけではなく「TETOTE」の歌詞にもつながるような動きになりました。

小さいチョッパーが、大きいチョッパーになって出て来たのも角でわかり、キャッチできました。よかった。

ところが、序章での勘九郎さんの声を勘九郎さんとは気がつかずに映像を見入ってしまいました。どんな映像になるかと力がはいり、なるほどと思って聞きつつ声の主に気がつかなかったとは不覚です。そういう意味では聞きやすくほど良い声だったということになります。それにしても残念。

花道から舞台への角度の映像もあり、切れの良いアップなど映像ならではのテンポで、観客席は年輩のかたが多く見受けられましたが、終映後に面白かったの声が聴こえてきました。

『ワンピース』の舞台を観て、テレビでもアニメの『ワンピース』を放映していたので録画して見たのですが、続きませんでした。舞台の『ワンピース』を楽しむ能力しかないようです。

最後に博多座での千穐楽での舞台からの発表がありました。2017年10月11月に新橋演舞場での再演決定。配役なども、春猿さんが来年の1月に新派へ入団され河合雪之丞さんとなられますから変ってくるのでしょうか。それとも客演されるかな。ナミさんをめぐって争奪戦ありというのも刺激的ですが。

映画を見た後に『ワンピース』のプログラムを楽しみました。浅野和之さんのメッセージから、作者の尾田栄一郎さんが「次郎長三国志」が好きであるということが判明。『ワンピース』は「ひとつなぎの大秘宝」を探すという仲間意識とそれぞれのキャラクターで話しが長く続いていくという手法が見えます。

アルトマン監督の群像劇は、関係のないと思われる人々が、何かのために集まり、その人間関係が観客に次第に明らかとなるというケースが多いのです。戦場の一部隊であったり、ファッションショーであったり、選挙の集会だったりなどするのです。その辺りが『ワンピース』とは違う群像劇です。

映画『次郎長三国志』は言わずと知れたマキノ雅弘監督ですが、東宝版では廣澤虎造さんに唸らせ、東映版では、次郎長の鶴田浩二さんに唄わせるという変化球をやってのけました。マキノ雅弘監督も映画会社とは様々のバトルがあったことでしょう。

そうそう旧東海道中では、吉原で次郎長さんや山岡鉄舟さんが定宿としていた宿屋に宿泊しました。今はビジネス旅館として頑張っておられます。

新橋演舞場 『ワンピース』

まさか新橋演舞場に再入港するとは思っていませんから、主題歌を唄うともっと楽しいであろうなどと書いてしまっていました。北川悠仁さんの歌詞をあらためてみますと、う~ん、ちょっとこちらにとっては、遥か遠き青春歌です。どうしようか。口ぱくでそーっと応援することにしましょう。

そして、2015年から2016年になっての見せかけ進化は、ペリー萩野さんが紹介されていた海賊本の『村上海賊の娘』(和田竜著)が積んであること。実質進化に今年中になるかどうか。来年の10月まで実質進化期限延長可とします。

ルフィと麦わら帽子と麦わら一味との再会は来年として、ゴッホの麦わら帽子について自分のための報告書をまとめなくてはなりません。映画も見直さなければ、映画同士が乱入し合っています。できるだけはやく調査に乗り出します。

パンフを見ていると、それぞれのお化粧の仕方が超熟慮の化粧術です。ゴッホさんが『ワンピース』の役者絵を描いたらどうなったのでしょうか。精神的重圧から解放されたかもしれません。こんなのがありなのかと。

 

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