織田信長関連映画(1)

  • 映画『忍びの国』(2017年/監督・中村義洋)は、和田竜さんの原作を読んでおり、自分の中の登場人物にかぶせるのはいやだったので観なかった。もう本のほうは忘れており、新作レンタルで出たので、織田信長関連映画として観ることにした。脚本が和田竜さん。始めは何なのと思っていたら、子も死に追いやりその親の理不尽さや伊賀に対する憎しみの気持ちをも織田側を欺く手段として使うのである。観ながら思い出していた。

 

  • 天正伊賀の乱を題材にしている。天正6年、織田信長の次男の信雄(のぶかつ)は、父の信長から伊賀は絶対に攻めるなと言われている。ところが、それは信長が自分の力でやってみろということを暗示しているのだいわれ伊賀征伐に踏み込んでしまう。信雄は、偉大な父を持った重圧からなんとか這い出したかったのである。ところが失敗してしまう。これが第一次天正伊賀の乱。天正9年、織田側はさらなる大軍を差し向け伊賀を女、子供までことごとく滅ぼしてしまう。これが第二次天正伊賀の乱である。

 

  • この映画の主人公は忍びの下忍である無門である。無門は映画『忍びの者』『続忍びの者』の石川五右衛門と違い、忍びの中でも無敵の強さがあり、自分のおもむくままに行動する。ところが一人の女性には無抵抗の言いなりである。無門が一目惚れして連れてきた武家の娘・お国。無門が約束のお金を稼いでこないので家も占拠され入れてもらえない。無門はお金のために危険な仕事も引き受け戦い殺していく。子供の頃伊賀に売られてきて、やらなければやられる、勝たなければ生きていけないの環境で育っている。

 

  • 映画のポスターを見て、無門が大野智さんで甘くてひ弱な感じとおもったのであるが、忍びが太っていては動けないし、映画の無門は良かった。過酷でありながらひょうひょうと戦い、惚れた弱みのお国さん以外には誰にも指図されず、忍びの優秀さゆえに束縛されないのがさわやかである。第一次天正伊賀の乱でお国さんを失い姿をくらまし、第二次天正伊賀の乱では、無門の姿を見たという者もいる。姿をみたとすれば無門は何のために姿をあらわしたのか。映画を観ればそれがわかる。ラストで、今の無門にとってだいじなものは何か。一応伏せておく。

 

  • 映画『本能寺ホテル』(2017年/監督・鈴木 雅之)。主人公・倉本繭子 (綾瀬はるか )が現代から天正10年(1582年)6月1日にタイムスリップして、織田信長と会う。本能寺の変の起こる前日である。タイムスリップするまでの繭子の歩く京都の風景が観光場所でありながらゆったりしていていい。繭子の歩くペースがいいともいえる。その道筋で、縁結びのチラシ、金平糖専門店での金平糖の購入、ホテルの予約が一年後の予約でありホテル探し。突然路地に建つ本能寺ホテル。空き室あり。

 

  • 繭子は、本能寺ホテルのロビーにあった壊れたオルゴールのネジを巻く。支配人に見送られてエレベーターに乗る。金平糖を口に入れかじる。壊れていたはずのオルゴールが動く。エレベーターのドアが開くとそこは、天正時代の本能寺であった。最初に出会うのが森蘭丸。森蘭丸は、信長に仕える難しさから胃痛である。繭子は現代の胃薬を渡し、提供。効能てきめん。しかし、信長に知れ当然一悶着あり。本能寺ホテルのロビーの受付のベルが押され、繭子は、本能寺ホテルのエレベーターの中であった。

 

  • 繭子はタイムスリップの行き方を知っているが、戻る方法は知らない。歴史を知っている繭子は、ふたたび信長のもとに行き、あなたはここに居ては死ぬのだから逃げなさいとう伝える。信長の答えは、天下統一は自分でなくてもいいのだと答える。信長は秀吉にその任務を託す。信長は未来の平和な時代のカップルのチラシを見ていて未来に託す。繭子は信長に魅了され、現実で自分で自分の一歩を踏み出す。恰好いい信長さん(堤真一)ですが、それにしてもそのためにどれだけの人間が死んだことか。これが単なる権力欲だとしたら。

 

  • もしかして、天正時代に現れるのではと予想した本能寺ホテルの支配人さんが、タイムスリップを信じていない現代人であった。ところが、繭子から金平糖をもらい、壊れていたオルゴールが動いた不思議から、オルゴールのネジを巻き、エレベーターに乗って金平糖をかじる。ドアがあく。さてタイムスリップできたのか。ベルは案内カウンターの上。乱世にも、戦争のあった時代にもタイムスリップしたくない。もとにもどるベルは誰が押すの。さて、戦乱で家族を失った者の信長への復讐を試みた男がいた。それは、、、

 

  • 信長への復讐を果すのは映画『信長協奏曲』(2016年/監督・松山博昭)のなかでの羽柴秀吉である。この映画はアニメドラマ、テレビドラマとして放映していたらしく、それらは全て無で映画を観る。信長によく似た三郎がタイムスリップして、信長になっているらしい。本物の信長は明智光秀となっている。信長の光秀は、頭巾で顔を隠している。三郎の信長は軽く皆を掌握していて人気がある。それを暗い目でみつめる信長の光秀。

 

  • 信長は戦の時、思いつきで村を燃やしてしまう。そこで一人命拾いをしたのが小さい頃の秀吉である。その時から信長は秀吉にとって敵であった。秀吉は光秀をけしかけ本能寺で信長を討たせるのである。三郎は帰蝶(斎藤道三の娘・濃姫)と未だ結婚式を挙げていなかったので本能寺で挙げることにする。どうも三郎は歴史には弱いらしい。三郎は信長が本能寺で死ぬことがやっとわかって帰蝶との結婚をさけるが、生きる事に執着して結婚式を挙げることを決心する。

 

  • 本能寺で三郎と信長は二人だけになる。信長は自分が武将としての器に欠けているとして、タイムスリップした三郎が自分に似ていることを利用して自分の身代わりにしたらしい。映画の長さではそこまでにいたる展開には分が悪い。想像しつつ観る。ここでも信長は天下統一後の平和な世界を目指している。本能寺での三郎と信長、信長と秀吉の対峙が見どころである。三郎と信長は小栗旬さんの二役である。三郎は無事現代にもどってこれた。同じようにタイムスリップして戻って来た外国人から帰蝶からの映像メッセージを受け取る。最初から知りたいならテレビドラマで観たほうが良さそうである。三郎の現代っ子の軽い統治ぶりが面白そうである。もう一人、タイムスリップしていたらしい人物が現代のテレビに映る。

 

  • 映画『本能寺ホテル』『信長協奏曲』からアニメ映画『君の名は。』が浮かぶ。龍と三葉はお互いが入れ替わる。二人は実際に会って認識し合ってはいない。入れ替わったことはわかっている。映画『本能寺ホテル』『信長協奏曲』では歴史は変わらない。しかし『君の名は。』は歴史を変えてしまう。災害が起きる前に時間がもどり人々を避難させ救おうと必死に闘うのである。未来に向かう道はいくつもあり、その方向性が複雑に組み合わさって一つの現在となる。『君の名は。』の時間構造を考えると頭の中がクラクラして疲れてしまう。体力充分のときに観直すことにする。

 

  • 織田信長関連映画は、単純にさらなる過去の作品を鑑賞。一つはテレビドラマ『織田信長  天下を取ったバカ』、映画は『若き日の信長』、『風雲児 織田信長』である。三作品とも信長がうつけ者と言われていたころの信長を描いており、舅であるマムシの斎藤道三との対面が大きな軸である。うつけ者と言われた若造が堂々と斎藤道三と会い生きて帰れたことは信長にとっても歴史的にも大きな転機点でもあった。うつけ者から天下を取る者に変わる点空間でもある。ただ『若き日の信長』には斎藤道三は出て来ず、策略家信長を映し出す。

 

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