ありがとう 勘三郎さん

感謝の言葉しか思い浮かばない。ありがとう。

歌舞伎を見続けられた一翼に勘三郎さんの羽ばたきは欠かせないものであった。楽しそうに演じられる勘三郎さんも素敵であったが、どこかでスイッチがきゅと入り、きりっと良い形にきまる勘三郎さんはもっと素敵であった。あっ!スイッチが入ったなと感じられる時の瞬間は、勝手にこちらが感知したと思い込んでいるわけであるが、至福のときである。そう感じられる演技をしてくれるのである。

『春興鏡獅子』の御小姓(腰元の少女)弥生の出から引っ込み、再び登場し戸惑いながらも挨拶して踊りだすまでの恥じらいと困惑の様は追随を許さないところがあった。歌舞伎観劇の手ほどきをしてくれた先輩からもらった20代の頃の『春興鏡獅子』の映像は何回見直したであろうか。勘三郎さんが鏡獅子を踊るたびに比較し楽しんだ。そして歌舞伎舞踊の楽しみ方を教えてもらった。

大河ドラマ『新平家物語』を先ごろ見たら、敦盛が勘三郎さんであった。もちろん勘九郎さん時代であるが、気が強そうで負けず嫌いの敦盛で、勘三郎さんらしい敦盛であった。

ありがとう 勘三郎さん。萎える気を負けん気にして見続けます。あなたの愛した歌舞伎を。

 

 

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