『大佛次郎記念館』は鞍馬天狗

『谷崎潤一郎展』の帰りに、大佛次郎記念館に寄る。時間が無かったが、『鞍馬天狗』関係の展示があるようなので、軽く見学する。『鞍馬天狗』のコレクターの故・磯貝宏國さんが、コレクションを寄贈され、その第一回目の展覧会というこである。嵐寛寿郎さん主演の映画ポスターや、映画館の週報、メンコなど、いかに大衆に愛されていたかがわかる。

落語家の林家木久扇さんの「私と鞍馬天狗」の寄稿文も展示されていた。「杉作!日本の夜明けは近い!」は、木久扇さんの造語とのこと。杉作とくれば、美空ひばりさんの杉作と歌を外すわけにはいかない。

木久扇さんの『木久扇のチャンバラスターうんちく塾』にはお世話になっているがその本でもトップバッターは嵐寛寿郎さんである。何作目の作品かは忘れたが、軸足一本でくるくるまわりながら斬っていくのに驚いたことがある。殺陣も様々に工夫されたようだ。大佛次郎さんは嵐寛寿郎さんの映画に不満があり、自分で制作されたが、やはりアラカンさんでなくてはと、鞍馬天狗ファンは納得しなかったようである。

『徳川太平記 吉宗と天一坊』(柴田錬三郎著)の解説を書かれた清原康正さんが、その解説の中で、2003年に県立神奈川文学館で「不滅の剣豪3人展 鞍馬天狗、眠狂四郎、宮本武蔵」が開催されたことを紹介されている。それぞれの原作者は大佛次郎さん、柴田錬三郎さん、吉川英治さんである。清原さんは、「眠狂四郎」について一文を寄稿され柴田錬三郎さんの死生観にも触れている。この三剣豪の中できちんと映画を観ていないのが『眠狂四郎』である。観ていないのにイメージが固定化されていて観たいとおもわないのでる。『徳川太平記 吉宗と天一坊』を読んで柴田錬三郎さんの面白さに触れれたので、時間を作って観たいとは思っている。

『徳川太平記 吉宗と天一坊』の中に、盗賊<雲切仁左衛門>が出てきて、こちらの方は、五社英雄監督の『雲霧仁左衛門』(池波正太郎原作)をレンタルしてすぐに観た。時代劇映画に関してはまたの機会とする。

『鞍馬天狗』も一冊くらいは、原作を読んでおいたほうが良いのかもしれない。

話しは飛ぶが、嵐寛寿郎さんと美空ひばりさんの関係書物で竹中労さんがお二人のことを聞き書きも含めそれぞれの本にされている。これはなかなか面白い。嵐寛寿郎さん(「鞍馬天狗のおじさん 聞書アラカン一代」)のほうが飾りなく豪胆に話され人柄がよく出ていて好著である。

その竹中労さんのお父さんが画家であることを知った。山梨県の甲府は太宰治さんが新婚時代を過ごした町でもある。その間、甲府にある湯村温泉郷の旅館明治で、太宰さんは滞在し作品を書いている。そのため、太宰さんの資料も展示されているということなので、山梨県立美術館へ『佐伯祐三展』を観に行ったおり、寄って、見させて頂いたのである。その帰り道に『竹中英太郎記念館』の看板があり、その日は休館日であった。聞いたことがない方なので気になって調べたら、竹中労さんの父で画家だったことが分った。意外な組み合わせである。機会があれば訪ねたいと思っている。

思っていることが沢山あって、思い風船がどんどん膨れて行く。割れないうちに飛ばして誰かに拾ってもらうのがよいのかもしれない。

横浜から甲府まで飛んだが、次は東京新宿区にでもしようか。

 

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