映画『シャーリー&ヒンダ ウォ―ル街を出禁になった2人』 『人生タクシー』からの継続(1)

時間的に書き込みできず休んだところ、楽で他に時間を使うことができ、しばらく書き込みを止めた。気がついたら12月になってしまった。2019年も終わるのである。

映画『シャーリー&ヒンダ ウォ―ル街を出禁になった2人』 『人生タクシー』からの空白の時間のようであるが、実際にはこの映画につながっていたのであるから不思議である。

映画『シャーリー&ヒンダ ウォ―ル街を出禁になった2人』から2008年のリーマンショックに興味がつながる。リーマンショックとは一体どういうことだったのであろうか。2008年、アメリカで大手投資銀行リーマン・ブラザーズが倒産し、世界最大の保険会社ATGが経営破たんのため国有化などがおこる。この影響が世界金融危機へとつながっていくのである。

リーマンショック関連映画(DVD)を観る。『インサイドジョブ 世界不況の知られざる真実』(ドキュメンタリー) 『マージン・コール』(日本未公開) 『ウォ―ルストリート・ダウン』 『マネー・ショート 華麗なる逆転』 『リーマン・ブラザーズ 最後の4日間』(実録テレビドラマ)『キャピタリズム ~マネーは踊る~』(ドキュメンタリー)

頭脳明晰な人たちがお金もうけの手段として考えたことであり、いまだによく理解できないが、わからないようにお金もうけを仕組んだのである。それにハマってしまった多くの人々がマイホームから追いだされ、あるいは失業し、あるいは責任を取らずに逃げ、大儲けをした一握りの人もいたということであろう。

マイホームを購入するときローンを組む。その時支払い能力の審査がある。その審査が無いに等しいサブプライムローンというのがある。お金を貸して家を持たせる。その家を担保にまたローンを組ませたりもする。マイホームを持つひとが増え住宅バブルである。ただこのサブプライムローンには落とし穴がある。途中から支払い額が増えるのである。変動制であるがそのことをわかりやすく説明したとは思えない。持てないと思っていたマイホームが手に入るのである。そしてわけもわからずにローンが払えなくなって強制執行で追い出されてしまう。

さらに解らないのであるがこのローンが他のローンなどと組み合わせられ債務担保証券として売られるのである。さらにこの証券の価値がなくなった時のための保険がありそれも販売される。マイホームを購入できるだけの収入がない人も審査上OKでのマイホームブームであるが、内実を知らない投資家は証券を買う。値はドンドン上がっていく。これが破たんした時のための保険というのがあることによって逆転勝ち組になるのが、映画『マネー・ショート 華麗なる逆転』である。

特定の人が、このバブルに疑念を抱く。これは破たんすると予測して保険をかけるのである。家の所有者と関係のない多数の人がその家に保険をかけることができるのと同じで、その家が火事になると掛けた人は保険金を貰えるのである。火事になることを期待して掛けるのである。そしてついに破たんし、リーマン・ブラザーズは潰れ、保険会社ATGには税金がつぎ込まれる。

映画『マネー・ショート 華麗なる逆転』でもうけた人々は、それがどれだけの貧困を生み出してのお金であるか知っているので複雑である。ただこここまでの間、人々を手玉に取って手数料で大儲けしていた人達に対しての義憤もある。自分の先見の明に単純に喜ぶ人もあれば、やるせなさを感じている人もいる。

インサイドジョブ 世界不況の知られざる真実』(ドキュメンタリー)は、責任問題などにも言及している。そしてこれらの映画を観たあとで、BS世界のドキュメンタリーで『リーマン告発者の10年』の放送があった。リーマン・ブラザーズの不正を知り内部告発した人々の10年を追ったもので、彼らのその後は厳しい人生である。彼らは裁かれる者がきちんと裁かれることを願っている。正当な願いである。

今年の夏は、NHK・BSのドキュメンタリーにお世話になった。昭和天皇の初公開の秘録を始め、興味深い戦争の知られざる様子を知ることができた。きちんと資料を残しておいてくれた人、それを見つけ出してくれた人、そして番組として制作してくれた人々の仕事ぶりには知る喜びを与えてもらった。

さて、リーマン・ショックのもやもやした気持ちを少しすっきりさせてくれるのが、B級作品とみなされるかもしれないが『ウォ―ルストリート・ダウン』である。銃でバキュン、バキュンと復讐する。映画の中なのでお許しをというところである。ラストがしゃれている。銃は必要ないとマイケル・ムーア監督に怒られそうであるが。 

マージン・コール』は、リーマン・ブラザーズの社員の話しで、色々あってもやはり会社人間から抜けだせないということである。デミ・ムーアを久しぶりで観た。役としてはそれほどのインパクトはなかった。

キャピタリズム ~マネーは踊る~』(ドキュメンタリー)。マイケル・ムーア監督作品。切り込み方の発想がいい。行動してその中から派生していく方向性を大切にしているからである。家からの追い立ての強制執行にも立ち会っている。『ハドソン川の奇跡』の映画にもなったサレンバーガー機長が、パイロットの金銭的窮状を発言していたのには驚いた。マイケル・ムーア監督の作品のDVDはテレビ放送作品を含めてほとんで観た。これまた、アメリカの知らなかった世界をみさせてもらった。突撃取材の発想が凄い。

マイケル・ムーア監督作品『華氏911』『華氏119』は、フランソワ・トリュフォー監督の映画『華氏451』からと思われるが、観ていなかったので早速観る。SFで、本を読むことを禁止され、没収され焼かれてしまう。その取り締まる側の係官が本に魅せられてしまう。それが見つかるが、取り締まりの魔の手から逃れる。一冊本を丸暗記して本を守る人々の集まりに出会い参加するのである。この原作本は『華氏451度』でこの本が登場する映画がある。

映画『マイ・ブックショップ』である。小さな町で夫を亡くした女性が本屋を開く。その本屋の初めての客に本を選んで届けるように言われ、女性はその中の一冊に『華氏451度』を選ぶ。初めての客はその本を気に入り、作家・レイ・ブラッドベリの他の作品もと注文するのである。しかし、町の有力者が本屋開店を快く想わず何かと邪魔をする。小さな世界が世間によくある構図でもあり、本屋は閉じられる。しかし、本の縁はつながっていくという、なかなか秀逸な作品であった。

映画『i 新聞記者ドキュメントー』は、クリスマスプレゼントに値するドキュメンタリー映画であった。東京新聞社会部記者・望月衣塑子さんを追い駈ける。しっかりこれが映画として残されたことにひとすじの光を感じる。ここで一応、映画『シャーリー&ヒンダ ウォ―ル街を出禁になった2人』のひとつの着地点とする。日本映画で着地できたのが嬉しい。

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