映画『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』『マリーゴールド・ホテル 幸せの第二章』

他にホテルのコメディ映画は無いかなと探したら映画『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』(2012年、ジョン・マッデン監督)にぶつかった。イギリスの大女優であるジュディ・デンチとマギー・スミスも出演している。このお二人は好きな女優さんんである。多くの映画に出演しているが、女王とかシェークスピアとなるとジュディ・デンチが浮かぶし、演技派のマギー・スミスは映画『天使にラブ・ソングを…』の修道院長など巾の広い分野の映画に出られている。

インドで、家族がもう閉めようと考えていたホテルを、亡き父の意志を継いでホテルの再建に乗り出す末息子のソニー。高齢者用の高級リゾートホテル経営を考える。老後を優雅に過ごしませんかの謳い文句にイギリスの七人のシニアがこのホテルに移住を決め、マリーゴールド・ホテルで出会うのである。七人の人々にはそれぞれ事情があり金銭的に裕福とは言えない人もいる。それまでの事情が紹介されつつ人々はマリーゴルード・ホテルに集まってくる。

やる気だけは充分の経営者兼支配人のソニーが笑顔で迎えてくれる。来てみてびっくり。改修中のホテルでおんぼろなのである。人々はお互いどんな交流をし、インドの文化と風習に接していくのであろうか。七人の中には映画『マイ・ブックショップ』でのビル・ナイや、映画『グランド・ブタペスト・ホテル』でのトム・ウィルキンソンなどもいてコメディとしながらも適度な重厚さと軽さが交差している作品である。

少しくらいのことではめげないシニアたちである。恋もし、職探しもし、ホテル経営の手伝いもするのである。今まで生きてきた時間を無駄にはしていない。ソニーは朝、お客様が夜の内に亡くなっていないか点呼する。高齢者用のホテルとしてのアイデアはあるが数字的な堅実さにかけ、人間洞察も未熟で恋人との関係も危ういのである。

そんな中、長い間会いたいと思っていた人との再会を果たすためにインドに来た男性シニアがいた。彼は再会が叶い満足するが、病気のため静かにマリーゴールド・ホテルの庭で亡くなってしまう。彼は短い時間を共にした人々に囲まれての最後であった。しかし彼は、永い付き合いの友人たちに囲まれたと同じような空間で亡くなることができたのである。若いソニーが想像できない心の交流がそこにはあった。

映画『マリーゴールド・ホテル 幸せの第二章』(2015年、ジョン・マッデン監督)は、『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』の続きである。ソニーはさらに二つ目のホテルを開業したいとおもっている。そのため提携してくれるホテルとの商談のため、経営を手伝ってくれているシニア女性と共にアメリカのカリフォルニアに向かい、良好な手応えを感じて帰ってくる。

ソニーは自分の直感をすぐに実際の現実に当てはめてしまうという欠点があって、ホテルに来た新しい男性客を提携会社からの覆面査察官と思い込む。新しいお客は女性と男性それぞれ一人ずつだったのであるが。

ソニーはついに恋人と結婚することになり結婚式をひかえているが、査察官と二軒目のホテルのことで頭が一杯である。さらに婚約者の前にライバルも出現するのである。ここらあたりから結婚式までは、若者のたちの駆け引きやダンスありでにぎやかであるが、内面のインパクトが弱い。二作目にはリチャード・ギアも登場するのであるが、残念ながら盛り上げることができず、一作目を越えることはできなかった。

この二作品はジョン・マッデン監督である。監督の映画『恋に落ちたシェークスピア』にはジュディ・デンチもエリザベス女王で出演していて広く知られている映画である。今お薦めの映画は『女神の見えざる手』である。思いがけない逆転に次ぐ逆転が次々展開されて観た後スカッとするのである。見えざる手が女神の手といえるかどうかは決めかねるが。

先輩たちから生き方の手を貸してもらいつつ幸せの第二章を踏み出したといえるソニー役ののデーヴ・パテールは映画『スラムドッグ$ミリオネア』の主役だった。顔が思い出せない。インドのムンバイのスラム街の孤児たちが集められ何処かに連れていかれる。そこで眼を薬品で潰される。子供たちに物乞いをさせるためには盲目のほうが同情を受ける。取り仕切る大人の発想である。一人の少年はその現場を見て逃走する。逃げ出した少年は苦難を乗り越え、テレビのクイズ番組に参加して全問正解し賞金を手にするのである。最後に幸せが訪れるという物語であるが個人的には心にトゲが刺さったような作品であった。

さて、デーヴ・パテールが映画『ホテル・・ムンバイ』に出演していました。凄くたくましくなっていました。

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