『ワンピース』からラスベガス映画(2)

映画『オーシャンと11人の仲間』と『オーシャンズ11』は、人を殺すことなくラスベガスのカジノの売り上げを頂戴するという内容である。『オーシャンと11人の仲間』ということは12人で仕事をしたということになる。『オーシャンズ11』は、続編『オーシャンズ12』『オーシャンズ13』があり、さらにダニー・オーシャンの妹が女性陣でオーシャンズを組織する『オーシャンズ8』がある。

映画『オーシャンと11人の仲間』(1960年・ルイス・マイルストン監督)と『オーシャンズ11』(2001年・スティーブン・ソダーバーグ監督)との間にはほぼ40年の経過がありラスベガスの町並みも違うしホテルの規模も違う。『オーシャンと11人の仲間』では、五つのホテル(サハラ、リビエラ、デザート・イン、サンズ、フラミンゴ)のカジノの売り上げを盗み、それぞれのホテルに仲間が分散して盗み出し、お金はごみ収集車一台で次々と回収していく。この仲間たちの関係は、第二次大戦のときの出撃部隊・82空挺部隊の仲間なのである。任務は数百ドルの解放である。実行開始日は大晦日。

12人の仲間たちが集まるまでが長い。泥棒の計画も全員がそろってから話が具体的になるのでそれまでが少し退屈させる。ジミー(ピーター・ローフォード)の富豪の母が何回も離婚しており、今回再婚する相手が曲者で、後にオーシャンたちの盗みに介入してくる。オーシャンの妻とその愛人。トニー(リチャード・コンテ)の元妻なども複線として登場する。

五つのホテルに侵入した仲間たちの偵察と仕事ぶりに入ると面白さが急増する。ここからは仲間のお手並み拝見である。楽しんでいるうちにお互いの顔を順番に眺める思いがけないラストへと突入。

オーシャンがフランク・シナトラ、サムがディーン・マーチン、運転手のジョシュがサミー・デイビスJr.は実際にラスベガスのショーに出演していて、彼らのショーには客席にそうそうたるスターの顔があったらしい。今に比べると場所も狭く舞台と客席は和気あいあいとして親密であったとのことである。

映画の中でサムは歌手として歌いつつ女性客を魅了し、偵察の役目を果たしている。トニーは電気関係担当でその仕事をしている途中で邪魔になったのが酔っぱらいの女のシャーリー・マクレーンである。それを上手くあしらうのがサムである。

ここで飛ぶが、映画『何という行き方!』(1964年・J・リープ・トンプソン監督)でシャーリー・マクレーンがディーン・マーチンをはじめ、ディック・V・ダイク、ポール・ニューマン、ロバート・ミッチャム、ジーン・ケリーを相手に多種多様の演技をみせているのには驚く。近い映画では『素敵な遺産相続』、『あなたの旅立ち・綴ります』でもしっかり存在感を示している。

映画『オーシャンズ11』は、三つのホテル(ベラジーオ、ミラージュ、MGMグランド)のカジノの売り上げがベラジーオの金庫に収まるので盗みに入る場所は一箇所である。ただこの三つのホテルを経営するべネディックが相当な冷血無比な男である。ホテルに関しては全て細かく把握している。金庫への通過の暗唱番号も毎日変えている。

ダニー・オーシャンは仲間のラスと二人で、仕事に必要な能力を持った仲間の人選をしていく。そのため仕事が始まるとどうしてこの人が選ばれたのかが観る側も納得できるようになっている。ただダニーはお金だけではなくもう一つべネディックから盗む、いや返してもらう目的もあった。元妻のテスである。テスはベラジーオ美術館の館長をしていてべネディックの恋人になっていた。

実行はボクシング大会のある日が売り上げも多いと言うことでその日にきまる。『オーシャンと11人の仲間』の頃に比べるとホテルも巨大化しハイテクの警備網も完備している。オーシャン側もそれなりの準備が大がかりである。そこに変装(詐欺師)というなりすましの仕事が必要となる。その腕がまだないのがライナスである。ライナスの気の焦りがこの仲間の弱点であるがどうにかカバーされる。そして強奪成功である。

さてテスの方は、べネディックがテスよりもお金が大事だということが映像でテスに知らしめダニーはテスの愛をとりもどすことに成功。ダニー、テス、ラスの車を、べネディックの部下が尾行する。続くのかなと思わせられる。

ダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)、ラス(ブラッド・ピット)、フランク(バーニー・マック)、ルーベン(エリオット・グールド)、モロ兄弟(ケーシー・アフレック、スコット・カーン)、リビングストン(エディ・ジェイミソン)、バシャ(ドン・チールド)、イエン(シャオボー・チン)、ソール(カール・ライナー)、ライナス(マット・ディモン)、べネディック(アンディ・ガルシア)、テス(ジュリア・ロバーツ)

オーシャンズ12』(2005年)では、べネディックに命と引き換えにお金を返すことを要求され金策のためテスも参加することになる。盗まれたお金は保険で補てんされていたのであるがべネディックは許さなかった。ラスの恋人が登場したりとこちらもなかなか面白い。ラスのいつも何かを食べてるシーンは減るが。

ただオーシャンたちの盗みの見せ場はない。代わって一人華麗に行動してくれる人は用意されている。そしてライナスの母親が登場したのは嬉しい驚きであった。父のボビーが有名な泥棒であることらしいのは話の中に出てきたが、母親もとは。話しが過去と現在に交差して複雑であるが、一人一人のキャラは分かっており意外な展開が笑わせてくれる。ラスベガスでのことではないのでこのへんで。

オーシャンズ13』(2007年)は、アル・パチーノがでるので期待したが大御所の魅力の引き出し方が弱かった。場所はラスベガスであるがウィリー・バンク(アル・パチーノ)のオープンするカジノホテル・バンクは架空のホテルでもあるので簡単に進める。

オーシャン一味のリーベンがホテル王であるウィリーに裏切られ、そのことが原因で倒れ意識不明となる。さっそくオーシャン一味はウィリー報復を考える。しかし資金がないこともありあのべネディックに力を借りることにする。もちろん、べネディックがウィリーを快く思っていないことを知ってである。ウィリーはホテル格付の最高位「5ダイヤモンド」をもらっていた。べネディックはそのダイヤを盗むことを条件にした。

ライナスが腕をあげていたが、今度は父親のボビー登場で中々親離れさせてもらえない落ちがつき、いつも喧嘩しているモロ兄弟が意気投合するというおまけもあるが、期待度の高さに比して盛り上がりがいまいちであった。

オーシャンズ8』(2018年・ゲイリー・ロス監督)は、観る気がなかったが流れのついでと観たらドキュメンタリー映画『メットガラ ドレスをまとった美術館』(2017年)につながる内容で満足。女性陣もなかなかやります。

ダニ―・オーシャンの妹・デビ―・オーシャン(サンドラ・ブロック)が、ファッション界最大級のイベント「メットガラ」に登場するカルティエ貸し出しの宝石に挑戦するのである。これまた仲間を7人選んでいく。盗む場面は女性ならではの細やかさでアクションは少ない。ところが、兄の仲間のイエンを登場させ、あの軽業師のしなやかな動きで他の宝石もいただいてしまうという見せ場を作っていた。さらに、ダニーは裏切った恋人にも復讐をするというおまけつき。

メットガラ ドレスをまとった美術館』は、米ヴォ―グ誌の編集長・アナ・ウインター主催によるニューヨーク・メトロポリタン美術館で開催された「メットガラ」の準備の模様からドキュメントしたもので、大変興味深いものだった。そのアナ・ウインターも『オーシャンズ8』に顔を出しており、上手い所に照準をあてた。華やかさも加わり、デビ―が兄のお墓で祝杯をあげて語るのがおしゃれである。

一応これで<オーシャンズ>から解放させてもらうことにする。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です