ひとこと・歌舞伎『蜘蛛の絲宿直噺』

蜘蛛の絲宿直噺(くものいとおよづめばなし)』

全神経を集中。常磐津と長唄の生が嬉しくなる。ツケも迫力あり。

猿之助さんの五役の変化は衣裳、動き、絡みと緩急自在。こちらも全てに敏感に反応。中でも幇間が気に入りました。着物の裏地の縞柄、さすが江戸っ子の遊びの粋。足さばきもいとおかし。

女房役の笑三郎さんと笑也さんの豪華衣装と佇まいが御殿の格をあらわす。

猿弥さんと中村福之助さんのはっきりした対照さがこれまたよし。隼人さんが土蜘蛛にねらわれそれも廓攻めなのに納得。福之助さんと隼人さんの存在感がなんとも若々しくすっきりしていて、それでいてぎこちなさが薄れた成長ぶりが頼もしい。

とにもかくにも楽しかった。それでいて陰でのチームワークの心意気が伝わる。襖の美しい絵から蜘蛛の巣へ。黒衣さんがラスト後ろから飛ばす蜘蛛の糸も効果抜群。

終わってみれば、あれは夢だったのか。下りてきたクモが可愛いかった。やはり夢だ。

猿之助さんの『鏡獅子』がみたい。

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