井原西鶴作品と映画『好色一代男』(2)

好色一代男』に酒田が出てくるという情報を得たのは『奥の細道』を読んでいるときです。それではと読み始めたわけです。さてその辺の部分を島田雅彦さんの訳からまとめてみることにします。

18歳・旅の出来心/ 親から江戸大伝馬町の支店へ行くようにいわれる。→京都→粟田山→逢坂→鈴鹿の坂の下→御油(ごゆ)→赤坂→江尻→今切(いまぎれ)の関→二川→芋川(いもがわ)→江戸(遊び歩く場所・深川八幡、築地、本所三つ目橋筋、目黒不動の茶屋、品川の連飛、白山、谷中の三崎、浅草橋、小宿、板橋、吉原)

19歳・出家にならねばならず/ 出家して武蔵野の庵に住まう→山伏の一行と吉野までの同行をたのむ→岡崎→泥川宿→山伏と別れ大阪へ到着(実家には帰らず谷町筋で鯨のひげ製の耳掻きの内職をして暮らす)

21歳・恋の捨て金/ ついに勘当される(流しの歌手になって渡り歩く)

23歳・是非もらい着物/ 大晦日にお金がなく借金取りに悩まされる

25歳・借金は一万円/ 佐渡の金山を目指すが出雲崎で魚売りの行商となる。

26歳・木綿の着物も借りの世/ 酒田へ行きつく。

世之介が見た酒田の様子です。

「この浜の景色、桜が波に映り、とても美しい。西行が「花の上漕ぐ蜑(あま)の釣舟」と詠んだのがまさにこのあたりだなと、寺の門前から景色を見ていると、尼さんの集団が声を揃えて、歌いながら歩いてきた。」

好色一代男』には西行の歌が所々で出てきます。しかし歌にも執着はなく、蜑(海女)と尼をかけているのです。ただこの尼さん集団は遊女同然ということで、「開いた口がふさがらない。」としていますが、それをあなたに言われたくないとお返ししておきます。

象潟のような気もしますが深くは追及しません。

「酒田の港は繁盛しているから、諸国との付き合いも多く、問屋に来る客は皆、そろ盤を弾いて歳月を過ごす。亭主のもてなしも、女房のお世辞も、とかく金銀の光あってのものだ。」人間観察も客観的です。

27歳・口論のお告げ/ 常陸の鹿島神宮に行き神職に成りすます。→水戸→鹽竈

という具合にその移動は忙しいこと限りなしです。

執着しない世之介ですが女性たちもそうかというとそうはいきません。女の恨みはおそろしいものです。

30歳・夢の太刀風/ 寝ているところに世之介に恨みがあると化け物になって4人の女が次々あらわれる。世之介は切り伏せるが、後には女たちの書いた起請文が四枚切り刻まれていた。

そうなんです。化け物も登場してくれるのです。そして死んだ女性がニタッと笑ったりもします。

34歳・火神鳴の雲隠れ/ そして父親が亡くなったことを知らされ、母親は世之介が生きていたことを喜び遺産を好きに使いなさいと全ての蔵のカギを渡してくれるのでした。総額500億円。

遺産であるから何に使おうと構いませんが、税金は大切に使ってもらわなくては困ります。

34歳から60歳まで大尽として三大色里で女性のためにお金を使いますが使い切れる額ではありません。いくらでも使うお手伝いになら立候補します。

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