映画 『山中常盤(やまなかときわ)』

「山中常盤物語絵巻」を素材にした映画があった。

監督は羽田澄子さん。羽田監督は十三代目片岡仁左衛門さんの記録映画『歌舞伎役者 片岡仁左衛門』 全六部を撮られたかたで、全六部を3日程かけて見たことがある。全部で11時間近くになる。見たのは1996年であるから、今見るともっと発見があるであろう。印象的だったのは目が不自由になられてから、形は全て身体が解かってられるので位置の確認をされていた姿である。出から何歩でこの位置に立ってそこから何歩でこの位置に来てと確認され、演じられると目が不自由とは思われない演技であった。

さらに羽田監督は武智鉄二演出の記録映画『東海道四谷怪談』も撮られている。伊右衛門が中村扇雀(現・坂田藤十郎)さんでお岩が白石加代子さんという異色の組み合わせである。これも見ることが出来た。こうであると捉えることが出来ずこれはこれとの感想である。当時様々な意見がだされたようであるが、文学者なども交えての議論百出という幸運な演劇環境で熱き時代であったと羨ましい限りである。

さて映画『山中常盤』であるが、見ていないのである。映画のチラシはとっていたのであるから、おそらく羽田監督の映画なので見たいと思ったのであろう。岩波ホールで2005年4月23日~29日までの一週間の特別上映である。羽田監督は、以前近世初期の風俗画の映画を作っていて(「風俗画ー近世初期ー」1967)絵をとることが非常に面白いことを知り、絵巻物を撮ってみたいと思い「この絵巻き・・」と思ったのが「山中常盤」だったのだそうである。文楽の鶴澤清次さんが作曲と三味線を、さらに浄瑠璃・豊竹呂勢大夫さん、三味線・鶴澤清二郎さん、胡弓・鶴澤清四郎さんも加わっている。

出遅れたというのか、岩佐又兵衛さんとはちょっとすれ違いのところがあるのである。

 

 

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