友 遠方より来たる (2)

JR日暮里北口出口で友人4人が集合。何年ぶりであろうと昨日まで会ってたような感覚である。出口を出ると前の道路は、下を列車が走る橋である。その橋の下は常磐線、山手線、東北新幹線、スカイライナー、京成線、京浜東北線が走る。歩道橋を渡り欄干から下を覗くと何もない多数の線路の上に一つの列車が姿を現すとあちらからもこちらからもと次々と姿を現す。歩道橋を渡り御成坂を上がり朝倉彫塑館へ。

朝倉文夫さんは彫塑家で早稲田大学に大隈重信像、東京国際フォーラムに太田道潅像がある。アトリエには大隈重信像(原型があるのでそれを使って作れることを友人が係りの人に聞きだす)が丸い台に乗っている。それは地下に下がることが出来、大隈像の頭から足まで同じ位置で制作作業ができるようになっている。他の部屋の骸骨の模型の前で友人が何か話している。模型を見ると自分の悪い部分がよくわかったという。そこでしばし人間の身体の仕組みについて考える。ただの老化の話であるが、声が大きくなるのが実感を伴っている。庭を建物のあらゆるところから眺められ、二階を含めてお日様の光をふんだんに取り入れられるように建てられている。欄間のカーブとか、壁や天井の材質、障子などあらゆる細やかな朝倉文夫さんの美意識が詰まっている。ここで皆、金沢の旅の時の群青色の壁を思い出す。あの色も忘れられない色である。屋根瓦にも趣向があり、取っ手のような突起のある瓦が並べ方も考えて配置している。屋上は庭園となっている。谷中霊園や沢山のお寺の屋根がみえる。谷中は寺町でもある。屋上庭園で背中を見せて下を覗いていた若者の像を、帰りには下から見上げて朝倉彫塑館ともお別れである。舞台美術家の朝倉摂さんと彫刻家の朝倉響子さんは朝倉文夫さんの娘さんである。

谷中ぎんざのに文字がみえるゲートをめざすと下りの階段がありここは夕焼けだんだんと名前がついている。その左手の下り坂が七面坂である。夕焼けだんだんを降りると谷中銀座の商店が続くのだが、その入口にトルコ料理のお店があり、シナモンケーキのカット売りをしている。一カット50円。昼食はもう少し歩き進んでからなのでここでゆっくり歩きつつ軽く胃袋へ。御惣菜屋さんの安さや、アンコウの量の少ない鍋用に便利と話しつつよみせ通りへぶつかる。今回はそこから案内版を左の路地に入り、岡倉天心の旧居跡の岡倉天心記念公園へ。六角の堂がある。扉が閉まっていたのでそのまま立ち去ったが、この中に平櫛田中さん作の岡倉天心像があったはずなのである。横の方の窓から見えたのかもしれないが確かめなかった。岡倉天心の映画が出来たはずと調べたら映画『天心』は昨年完成していたが、上映館が少ない。特定の所でしか上映しないのであろうか。見たいのであるが。

築地塀の長安寺(観音寺の間違いであった)への道が解らずそのまま三崎坂にぶつかる。おそらく左手に鉄舟・圓朝のお墓のある全生庵があったのであろうが、そのまま右に折れると、笠森おせんの碑がある大円寺があり、その門をくぐる。笠森お仙は江戸時代の三大美人の一人で、鈴木春信の美人画のモデルになった女性である。その碑に書かれている文は永井荷風によるものである。三大美人ならあと二人は誰かと友人が言ったのを思い出し検索したら、柳屋お藤と蔦屋およしである。美人画があるのかどうかは調べていない。向かいにある千代紙のいせ辰を教え、菊見せんべいの所で団子坂を説明、少しもどりべっ甲屋さんのところのよみせ通りを入り、一つ目の路地の奥に指人形の「笑吉」がある。その前にたったらこれから指人形劇が始まるという。すでに8人ほど座っている。椅子を空けてくれ私たち4人がいっぱいになるせまさである。人形劇をする小さな舞台の上には、たけしさん、鶴瓶さん(ここでたけしさんと鶴瓶さんに女の恨みを一言。一昨年、昨年の年末にテレビで落語をすると言ったのに二人は約束を破ったのである。怨念。予定外のテレビ番組)サブちゃん、エルビスなどの指人形が飾ってある。人形劇はショートで10種類くらいあり時間は30分くらいで500円。柳家金語楼さんのような表情豊かな老人などが出てきたりして笑わせてくれる。友人達も気に入ってくれたようだ。教えてくれた仲間が、私も参加するといったので、今回は遠方からの古い友人だから駄目、今度別枠で企画するからといったが、お礼を兼ねて早めに計画しなければ。谷中の七福神は回ったと言っていた。

ここから、森鴎外記念館に行くか、歩いて上野公園を抜けるか、地下鉄を使い千駄木駅から湯島駅まで行くかの選択で地下鉄を使うと選択。ではその前に昼食をと、一番近いお蕎麦屋さんに入る。

 

 

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