2月文楽 『七福神宝の入舩』 

『七福神宝の入舩』の平成15年5月の床本があった。この演目は第一部で上演されているが観ていないので第二部の『加賀見山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)』を観たのであろう。今回は三部立てで一部の『七福神宝の入船』を観るので床本を読んでおいた。

<浮かれ出でたる神々の七つの福を銘々に積むや宝の船遊び、呑めや謡へや酌に立つ、その色こそはなよ竹の生ふる嶋にぞ住み給ふ>

七福神が浮かれている。呑めや謡えと酒盛りである。楽しそうである。<サアサアこれから銘々に嗜(たしな)みの芸尽くし> 隠し芸大会である。舞台は七福神。大夫さん七人、三味線七人。琴も置いてあるのでなにが始まることか。

寿老人、<子供に戻りし老人が、この三味線で玉琴に似せるも時のヲホ、、、、お笑い草>寿老人は三味線を取り上げかき鳴らす。そこに琴が加わり華やかになる。

次は布袋の謡に合わす腹鼓。見事なお腹で音も良し。

さてお次は色の黒いのが自慢の大黒天。驚くなかれ胡弓である。いやいや三味線ばかりか、胡弓も素晴らしい。

逃げようとした弁財天に似合うのはやはり琵琶。太棹で弁財天の琵琶の音を。

さてお次は道化役。長い頭の天辺に何であろうか獅子頭が乗っている。頭が伸びたり縮んだりの角兵衛獅子。<越後の国の角兵衛獅子、国を出る時や、親子連れ、獅子を被ってくるりと回って首をふりまする>

黄金の釣竿持つ恵比寿さん。黄金の釣竿で太鼓に見立てて船端を軽快に刻み打ち。ついには釣竿海原に投げ鯛釣りと、失敗何のその。ビール、ジョッキで飲み干していざ再挑戦。恵比寿ビールの後押しで鯛も見事に釣りあげました。

物々しい異形の毘沙門天。船の眠りを覚まさんと、取り上げたる三味の船歌。太棹七棹豪快に福を讃える 芸尽くし。<実に福神の音曲の数を並べて積み上げし浪乗船の音のよき調べを代々に伝へける>

人形の動きもさることながら、どんな音曲がつくのか楽しみであった。期待以上の楽しさであった。観たし、聴いたし、おめでたいし、愉快だし、七福神は浮かれているし、音曲は確かだし、国立小劇場で七福神巡りはできたし、しの七並べで上出来上出来。

 

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