新橋演舞場 『舟木一夫特別公演』(1)

『-巷談・勝小吉ー 気ままにてござ候』  千穐楽には、二部のコンサートが、それまでとは違う歌の構成との情報を得て、千穐楽の昼を予定にいれた。

芝居のほうであるが、勝小吉という破天荒の実在人物をモデルにしているが、昔ながらの痛快娯楽時代劇にしたかったようである。

小吉さん(舟木一夫)の周りには三人の女性がいる。まだいるらしいが姿は見せないので一応三人としておく。乳母のお熊さん(英太郎)と女房のお信さん(葉山葉子)とお信さんの祖母の環さん(水谷八重子)である。男谷家の三男坊の小吉さんは、お信さんと環さんの勝家に養子に入ったのである。三男坊であるから貧乏御家人といえども当時としてはありがたいことである。

ところが小吉さんは全然ありがたいなどとは思わない。自分の思うままに行動するのみである。そんな小吉さんを無償で後押しするのがお熊さんで就活のための挨拶廻り、吉原遊び、露店の道具売りの店番と、お坊ちゃまの行くところどこまでもついて歩く。さらには座敷牢の鍵までも手に入れて小吉さんに渡してしまう。

女房のお信さんは勝手気ままな小吉さんが好きであるが、いつもその想いは信用されすぎてか、置いてきぼりである。時には、我慢にも限度があって行動にでるが、また、置いていかれる。

祖母のお環さんは、勝家を立て直して欲しいと思って養子に迎えたのであるから、気ままな小吉さんなど気に入るはずもない。小吉さんのことを、散々あしざまに怒鳴り散らす。ところが、天はこの人を見捨てなかった。いや鎮まらせようとしたのか、優秀な孫を与えてくれたのである。

外での小吉さんは喧嘩三昧である。放浪時代に知り合った乞食のあにさん(林与一)と偶然にも喧嘩の場所であう。さらに、乞食のあにさんは吉原から両国へと渡り、言い顔役になって小吉さんと再会する。お互いに心の内はわかっているが、刀を持つと勝負したくなる性分である。

そんな男の世界にもお環さんは薙を持って介入する。丸く治めるのが8歳になった孫の勝麟太郎少年である。自分の着ている将軍家から拝領の葵のご紋の羽織の前に皆をひれ伏せてしまう。さらに麟太郎少年、おばあさまの心をしっかり掴んでいて、自分の父母の小吉さんとお信さんのまだであった祝言の許可をおばあさまから取り付けるのである。

小吉さん柄にもなく、未来を知っているのかどうか、俺の好きなお江戸を守ってくれよと麟太郎少年に託すのである。

麟太郎少年賢いので、自分がおばあさまのそばに居れば勝家は丸く治まっていると知っている。そんな孫が可愛くて イヒヒヒ と満足の環さんである。

桜の下で小吉さんとお信さん、皆に祝福され目出度く祝言となります。ここで芝居は幕ですが、あの小吉さんのこと、お信さんまた置いてきぼりにされる予感がしないでもありません。

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