能登半島から加賀温泉郷への旅(2)

能登演劇堂での無名塾『肝っ玉おっ母と子供たち』の観劇を決めてから、能登半島と加賀温泉郷の旅の計画をしました。さてどう回るか。

能登演劇堂へは金沢駅、七尾駅、和倉温泉駅からの予約制の送迎バスがあり、七尾は長谷川等伯さんの生誕地です。駅の近くに明治から昭和初期に建てられた商家が残る一本杉通り商店街があり、送迎バス時間までの約2時間をこの商店街散策にあてました。

七尾には前田利家さんが小丸山城を築いていて、北前船の寄港地でもあったのです。駅前には長谷川等伯さんの像がお出迎えです。といっても等伯さんは何を目指されているのか笠を上に持ち上げ遠くを眺めておられます。

「高澤ろうそく店」では、絵ろうそくやこんな風なろうそくもあるのかと眺めているだけで楽しかったです。「花嫁のれん館」では、お嫁入りの日に婚家の仏間の入口に花嫁がくぐる花嫁のれんが展示されていて解説もしてくれます。加賀藩の領地で幕末から明治にかけて始まったということで、もっと古くからの習慣と思っていましたので意外でした。お婿さんに入られるときには、花婿のれんもありました。紋は実家の紋で、一生に一度だけ使われるのです。

毎年、花嫁のれん展の時期には、一本杉通りの商家や民家に花嫁のれんが掛けられるそうで、美しいのれんですので、一度だけというのは勿体なさすぎますので多くの人に愉しまれるほうがいいとおもいます。金沢からのJR七尾線には、花嫁のれん列車というのも走行しているようです。

仏壇も立派で、七尾仏壇といい、利家さんが地元の産業起こしを考えて奨励したようです。「花嫁のれん館」のそばに利家さんとまつさんの像があり、小丸山城址公園に上がって行けますが、時間の関係で上までは行きませんでした。

能登演劇堂での観劇感想はこちらで。能登演劇堂・無名塾『肝っ玉おっ母と子供たち』 

次の日は、能登半島の観光ですが、行きたいところが含まれている定期観光バスが和倉温泉バスターミナル出発の「おくのと号」なのです。

輪島朝市輪島キリコ会館白米千枚田道の駅すず塩田村→珠洲ビーチホテル(昼食)→見附島<軍艦島>→のと里山空港→輪島ふらっと訪夢→和倉温泉バスターミナル→和倉温泉駅

一番行きたかったのが<揚げ浜式>で塩づくりをしている「すず塩田村」です。東京の墨田区にある「たばこと塩の博物館」で塩の作り方と生産地の変遷の講演をきいたことがあり、能登に<揚げ浜式>が残っていることを知ったのです。ものすごく大変な作業で、天候に左右され、行った10月20日は曇りで時に雨で、数日前の天気の日で今年の塩作りもお終いなのかもしれませんと言われていました。海水を汲んできて塩田に海水を撒くのですが実際にやってくれましたが、均等に遠くまで広く撒かなくてはならないのです。お見事でしたが、名人になると虹がみえるのだそうです。

この定期観光バスはガイドさんがつかず運転手さんが、歴史的なことは案内の録音を流してくれるのですが、地元のかたなので、実際の生活のエピソードなどをまじえてくれて、ではこの町につて案内しますと録音をながしてくれますので、親しみと客観性が相まって楽しい観光でした。

行くところそれぞれが興味深く、輪島なども廃線で鉄道がなくかつての駅は、道の駅になっていました。輪島の朝市も楽しかったです。見ていませんが朝ドラ「まれ」のロケ地だったのですね。何かなと思って入ったところに、「まれ」に出て来たのでしょう理髪店などのセットの一部があり、さらに映画のロケ地案内がありました。『能登の花嫁』(見ていません)『幻に光』『君よ憤怒の河を渉れ』(見ていますが『君よ憤怒の河を渉れ』は意外でした)そして、5月に公開されたという『追憶』がありました。11月にDVDの新作として出るようなので見ることにしますが、富山に渡る広範囲のようです。

輪島キリコ会館では、神様の道を照らす大きな細長い奉灯(キリコ)が展示されています。ぐるっと上からも眺めることができ、本当に日本には様々な様式のお祭りがあるものだと感心します。お祭りの映像もありましたが、暴れ祭りといって、御神輿を川へ投げたりふみつけたり、火の中へいれたりとまさしく暴れまわります。そうした幾つかの祭りを総称してキリコ祭りというようです。

千枚田は海に面した想像していたよりも狭い段上の田んぼでした。狭い段差のある土地ゆえの工夫ではあるのですが。夜はLEDの明かりが観光写真のように美しく輝き、その姿を照らしだすのでしょう。

珠洲(すず)では、黄色い標識のようなものがあり、運転手さんが説明してくれました。珠洲市は能登半島の最先端で今では不便なところなのですが、<奥能登国際芸術祭スズ>というのを開催(9月3日~10月22日)していて、色々なアートを展示したり、掘り起こしたりしてそれの案内板にそって自分たちで捜しあてていく催しなのだそうで、若い人が集まり予想以上の集客力となったそうです。

見附島<軍艦島>のところにも、その芸術品がありますから見つけてくださいとのことでしたが、見つけた人はガラクタの様でよくわからなかったと言っていました。私は海の中の見附島を方角を移動しつつ眺めていましたので、場所の違う砂浜に置かれたアートには気がつきませんでした。面白い試みだとおもいます。探してアートと思うかどうか、ケンケンガクガクもいいのではないでしょうか。

さらに源義経さんが兄・頼朝さんの追っ手から船を隠したという場所もあり、能登は平時忠さん(平清盛の義弟)が流されたところでもあり、平家の郷があり、歴史的にも興味深い地でありました。

和倉温泉から能登島大橋を渡り能登島を通り、ツインブリッジで能登半島に入り輪島へ進み、そして奥能登を周遊するコースで満足感たっぷりでした。このコースを選んだ甲斐がありました。

 

2017年10月31日 | 悠草庵の手習 (suocean.com)

 

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