『~芸がさね舞がさね~』(第2回江戸まちたいとう芸楽祭クロージングイベント)②

「手妻(和妻)」は日本が工夫してきた奇術で、奇術のなかに組み込まれているのを見た事があるが、「手妻」だけというのは初めてである。この伝統を引き継いでいる藤山大樹さんは、2014年には、アジアでのマジックチャンピオン、2015年の世界大会「FISM(フィズム)」で第5位とのことである。

演目にも名前がついている。〔七変化〕〔柱ぬき〕〔連理の曲〕など。〔七変化〕は歌舞伎の舞踊などでもあり、お面を変えて違う人物になり変わるのであるが、もっと速く一瞬に変わるのである。演目に名前があるのはスト―リーがあるからなのである。一匹の狐が、化けて、人を驚かし、楽しむ。ところが、その変化の速さに驚かされてストーリーをとらえるまでには至らなかった。

和の紙の材質を活かした奇術といえるのかもしれない。切ってハラハラと散らす。こよりにすれば強い。折りたためば広げるとどうなるかなど。今度観る機会があれば、ストーリーを楽しませてもらうことにする。

和楽演奏・AUN J (アウンジェイ)クラシック・オーケストラ。和太鼓、三味線、箏、尺八、篠笛、鳴り物の和楽器のユニットである。関心したのは、観客を乗せていくパフォーマンスである。ヒデさんが鳴り物の手拍子(チャッパ)で先ずリズム感を座っている観客に伝えてくれる。そして津軽三味線で井上良平さんと井上公平さんが演奏され、つぎに二人羽織りの芸のように津軽三味線ひと棹を二人で演奏。これが聴きつつ観るパフォーマンスを加えてくれる。良平さんと公平さんは双子ということでさらに納得。

そして6人の演奏となる。尾上秀樹(中棹三味線)、市川慎(箏、十七絃筝)、石垣征山(尺八)、井上良平(和太鼓・津軽三味線)、井上公平(篠笛・津軽三味線)、ヒデ(鳴り物)。浅草といえば隅田川で滝廉太郎さんの『花』も演奏される。映画『わが愛の譜 滝廉太郎物語』が浮かぶ。廉太郎さんはこの頃はまだ希望に満ちた時代である。

和楽がジャズセッションのようでもあり、観客の乗せ方もうまい。『梅笑會』でも、岡谷太鼓の会の方々が花道で花林拍子木で素敵な音のリズム感を響かせてくれたが、まだまだ和楽器も開拓されていないやり方がたくさんあるということである。

爆笑問題のおふたり、いやはやスピード感が半端ではない。そのスピードについて行きつつ笑わせられる。これって練習するとしたら一回で嫌になってしまうと思う。打ち合せだけなのであろうか。相手の言いそうなことが分かっているので、修正しつつ次々と移っていくのであろうか。

それと今の世の中の話題ネタの新しさ。桜を見る会のシュレッダーとバンクシーのシュレッダーも、バンクシーのバレンタインの絵の話題があって復活させられる。そういう鮮度を落とさない探知機がたえず働いているらしい。今の話題をネタにするのは下手をすると録画をみる感じになってしまうが、そこをすくい上げる手腕にすきがない。すくい上げた金魚を元気に跳ねさせ、のぞく観客の反応を見つつまたすくい上げる。あれよあれよという間に。

この後、神田伯山さんと爆笑問題のおふたりは新宿末廣亭・夜の部でご一緒とかでどちらもぼやいていましたがお客さまはお待ちかねであったろう。

『平家物語』の〔那須与一〕読み返したが、伯山さんの講談のほうがやはり生き生きとしてワクワクさせられた。物語をさらに「講釈師、見てきたように嘘をつき」の腕がなければお客はなんだ昔のはなしかで終わってしまう。

庶民的料金で、これだけの芸を見せて貰っていいのであろうか。第3回は心して情報に気をつけます。

追記: どれだけ暇なのか、上から目線だと文句をつけつつこの書き込みを読んでくれている友人から「2/16の情熱大陸を拝見!」とメールがくる。それは結構!結構!「後でメールしようとメモしておいたけど、酔っていてどうでもよい話ししかメモされていなかった~ヤレ、ヤレ」と。どれだけ飲んでいたのか~ヤレ、ヤレ。

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