映画『『リヴァプール、最後の恋』からグロリア・グレアム出演映画(1)

映画『リヴァプール、最後の恋』(2017年・ポール・マクギンガン監督)で、50年代ハリウッド女優のグロリア・グレアムを知る。『ガラスの動物園』のポスターがありグロリア・グレアムと名前がある。どうやらこの舞台開演前であるらしい。鏡の前にお化粧道具やお気に入りの物が並べられる。大きめのロケットペンダント。1950年「孤独な場所で」ボギーよりと彫られたコンパクト。(おそらくコンパクトと思うのであるが、定かではない。)十字砲火・グロリア・グレアムと記した写真も飾られている。

後に知ったのであるが『孤独な場所で』と『十字砲火』はグロリアが出演していた映画であった。開演前のグロリア・グレアムは、1981年の彼女(57歳)である。開演直前グロリアは倒れてしまう。そして連絡された先が舞台俳優の駈け出しであり元恋人のピーター・ターナーのところであった。ピーターは、1979年グロリアと出会い二人は恋に落ちる。ところがその後二人はアメリカで別れその後、音信不通であった。そのグロリアがイギリスのランカスターに来ていたのである。

ピーターと会ったグロリアは、病院はいやだからピーターの母に看病してもらいたいと希望する。ピーターはその希望をかなえ、家族も受け入れるのである。グロリア(アネット・ベニング)とピーター(ジェイミー・ベル)のかつての恋人としての時間と、現在の時間とがそこから映画では交差して描かれ彼女のハリウッド時代のこともわかってくる。

二人が出会ったのはグロリアが舞台のために借りた部屋と隣同士となり、グロリアが『サタデー・ナイト・フィバー』のダンスの相手をしてくれと頼んだことから急接近する。

グロリアとピーターが一緒に観る映画が『エイリアン』でグロリアは大笑いし、ピーターは怖がる。映画撮影の裏側を知っているグロリアには可笑しいのであろう。それともう一本はグロリアが酒場で色っぽく歌う場面の映画で『ネイキッド・アリバイ』とタイトルが出る。楽屋の鏡台に置かれたペンダントは、この映画の中で歌った曲をオルゴールに入れペンダントとしてピーターがグロリアにプレゼンとしたものであった。

グロリアは、ハンフリー・ボガード夫妻の隣に住んでいたことがあって、演技のアドバイスもしてくれたと話す。ボギーのアドバイスは「影に潜んでカメラを引き寄せろ」である。ピーターが「ローレン・バコールに似ている。」というと「ボギーもそう言ってた。イヤだったけど。」と答えるグロリア。

ピーターの両親はグロリアの全盛時代ファンで、父親がピーターに話す。「彼女の映画は全部みていた。セクシー女優で色っぽい唇。吸い寄せられ目が離せなかった。」

アメリカに呼ばれピーターはグロリアの母と姉も加わり4人で食事をする。グロリアの母もかつては舞台女優であった。その時何歳かと聞かれる。ピーターが28歳と答えると、グロリアの四番目の夫も同じ年だったと告げられる。そしてその夫は二番目の夫の連れ子で義理の息子であった。二番目の夫は後にジェームズ・ディーンの『理由なき反抗』の監督・ニコラス・レイである。『孤独な場所で』の監督もニコラス・レイで、この映画を撮っている時、監督とグロリアは結婚していた。

ピーターはそうした過去も全て受け入れるが、グロリアの態度が急に冷たくなる。この時グロリアは乳がんの再発が発見され、心のゆとりがなくなっていた。ピーターはグロリア倒れて呼ばれ再会し、そのことを知る。そしてグロリアの病気は治らないと察知し、彼はグロリアのためにサプライズを実行する。

グロリアには、目標があった。RSC(ロイヤル・シェークスピア・カンパニー)で『ロミオとジュリエット』のジュリエットを演じたいと。ピーターは、病身の彼女をリヴァプール劇場の無観客の舞台でジュリエットのセリフを語らせるのである。彼はこの時舞台俳優としてグロリアの一番の理解者であった。

グロリアは、息子が迎えに来てアメリカへ帰っていく。部屋の床に『十字砲火』の時のグロリアの写真が落ちていた。

ラストにグロリア・グレアムがオスカーを手にする実写が映される。受賞したのは映画『悪人と美女』での助演女優賞である。グロリア・グレアムは舞台に上がりオスカーを受け取り「ありがとう。」と一言告げると退場してしまう。あっけないほどの一瞬である。会場に笑いが起こる。この時のグロリアの心の内はちょっと想像できない。想像を拒否しているようにも受け取れる。

その時助演女優賞にノミネートされた他の女優さんは次のとおりである。

雨に唄えば』のジーン・ヘイゲン。『赤い風車』のコレット・マルシャン。『愛しきシバよ帰れ』のテリー・ムーア。『わが心に歌えば』のセルマ・リッター。こういう映画が上映されていた時代である。

さてここから、グロリア・グレアムの出演映画の鑑賞となった。

映画『サタデー・ナイト・フィーバー』は、ダンス映画にハマった時観直したが、ブルックリン橋をはさんで、労働者の街のブルックリンと洗練された都会的な街という比較もあったのだと知った。グロリアとピーターはひたすら楽しんで踊っている。

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