高田馬場から歌舞伎『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』&シネマ歌舞伎(2)

2019年6月に歌舞伎座で上演されたのが『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』である。三谷幸喜さんの歌舞伎二作目である。『月光露針路日本』を歌舞伎調で読むと、『つきあかりめざすふるさと』となる。

月光とくると榎本健一さんの『月光価千金(げっこうあたいせんきん)』が浮かぶ。

三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』については、2020年6月17日に少し触れていたのでその部分を載せます。

▶ 三谷幸喜さんは歌舞伎の台本も書かれていて演出も。『月光露針路 日本風雲児たち』(つきあかりめざすふるさと)で原作はみなもと太郎さんの長編マンガ『風雲児たち』からである。映画『おろしや国酔夢譚』を観ていたので内容は分かっていたが、ロシアの宮廷をどう描くのかが興味あった。さすが歌舞伎役者さんと舞台装置である。

女帝カテリーナが猿之助さんで公爵ポチョムキンが白鸚さんである。猿之助さんは高杉早苗さんを思い出してしまった。ミュージカルでもベテランである白鸚さんは、さすが外国の高官のそのものであった。お二人で豪華絢爛な宮廷を描いてしまわれた。それに圧倒されながらも負けない光太夫の幸四郎さん。彼の願いは乗組員と途中で亡くなった者たちの魂を日本に連れ帰ることであった。(シネマ歌舞伎として10月上映予定。) ◀

シネマ歌舞伎は観ていなかったのであるが、有料動画配信で観ることができました。そりを引く着ぐるみの犬の突然の登場で雪原を走る場面がぱーっと思い描けたときの感覚は実際の舞台と映像ではやはり違っていた。知っていたとしてでもある。

ただ映像では役者さんの表情がよくわかるのが美点である。三谷幸喜さんは、『決闘!高田馬場』のコメントで歌舞伎座の広さだと広すぎて余ってしまうといわれていたが、余ってしまう場面があった。ラスト大詰め間近で光太夫(幸四郎)に対し、庄蔵(猿之助)、新蔵(愛之助)が胸の内を吐き出す重要な場面がある。熱演であったが何か伝わり方が薄かった。

ところが映像のほうでは泣けてしまった。役者さんの表情が映されるため伝わり方の力が強くなるのである。こういう広い舞台空間も三谷さんは浮かんでいたのかもしれない。

さらに舞台を観ていたときは海外の行き来もでき、簡単に行き来のできない今の状況など想像もしていない。そのため感情移入もどこか遠い過去の人である。それが今だと近いので三人の心情に強く反応した面もあるのでしょう。

新作のときは、舞台上でなかなか見られない役者さんたちが多数舞台上に参加するのでそれを観れるのもたのしみです。お化粧しているので見極めるのが難しいのですが。

役者さんだけで数え方が間違っていなければ74人のかたが参加されていた。

注目したのは作次郎の片岡松十郎さんである。朝ドラマ『おちょやん』で岡安の女将のかつての恋人役で出演していた方である。この方であったかと認識できた。朝ドラは観ないのであるが『おちょやん』は浪花千栄子さんがモデルということで、歌舞伎役者さん、大衆演劇の役者さん、関西系の役者さんが出られているので録画して5日間分をまとめて観ている。

舞台もこれだけ多数の役者さんが参加する公演が観られるのはいつであろうか。

映像は一気に集中して観た。涙も心には大切なケアとなるんだそうです。

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