新しいことに挑戦・平賀源内、伊能忠敬、間宮林蔵(2)

忠敬は深川黒門町から暦局(浅草天文台)へ通います。

の天文屋敷が暦局の跡地です。いつか深川黒門町の伊能忠敬住居跡から歩いてみたい経路です

すでに地球が球形であることはわかっておりました。至時は地球の大きさがわかるには、北極から南極を結び一周する線が子午線で、この子午線の長さを知るためには緯度一度分の子午線の長さがわかれば計算できるといいます。

忠敬はこの緯度一度の距離を知りたいとおもったのです。そこで深川から浅草まで歩測で測量図をつくりました。至時は、やりかたは間違っていないが、深川から仙台とか青森とかもっと遠いところでの緯度と距離をはからなければダメですといいます。

至時は幕府から蝦夷地(北海道)の測量の許可をとってくれたのです。これが日本地図の測量へとつながったのです。役所は船で蝦夷地へ運ぶ予定ですがそれでは<緯度一度分の子午線の長さ>が出せません。陸路を測量しつつ進むために正確な絵地図を作りますと至時は説得しました。

許可は下りましたが天体観測もあるので費用は忠敬が自費を出さなければできないことでした。それは覚悟のうえでした。百姓の身分である忠敬には許可の下りないことであり、師・至時のおかげでした。至時はさらにいいます。「測量では、<誤差>をいかに小さくするかが勝負です。」この<誤差>に対し忠敬は肝に銘じました。

蝦夷地の測量は途中で切り上げますが、奥州街道の地図の精密さに幕府は次の二回目の測量をそく許可します。忠敬は<誤差>をなくすため歩測にさらに測量道具を考えだしていきます。

第四次の測量では「御用」の旗をかかげれるようになりました。幕府の命令による公式の調査ということです。この「御用」の旗で藩のあつかいがちがっていました。ただこの旗が忠敬を慢心させることになり、糸魚川での小さなトラブルが幕府まで届いてしまいます。至時からいましめの手紙が届きます。目指す仕事は大きいのですよということでした。忠敬は深く感じ入り師に感謝します。

そして江戸にもどると至時は知らせてくれます。忠敬が計算した緯度一度分が28里2分(約110.8㎞→現在111.1㎞)であることを確信したと。至時は、西洋の天文学の本『ラランデ暦書』を幕府に購入してもらい、日本の単位に計算し直してくれ忠敬のと一致したと教えてくれたのです。

幕府との面倒な交渉をしてくれ、忠敬の進む道を開いてくれ、忠敬の実績を証明してくれた師・至時はそれからまもなく亡くなってしまいます。師のそばで眠りたいという忠敬の想いもよくわかります。(源空寺墓地)

忠敬は幕臣となり測量は国家事業として続けられます。測量隊に役人も参加し、それはそれで内部の身分差がでてきたり心の休まることはありまんでしたが、第十次測量と間宮林蔵の蝦夷測量を加て「大日本沿海與地全図」は最後の仕上げにかかります。

第九次測量のあと、地図の作成には深川の家では狭いため、亀島町の屋敷(東京都中央区茅場町)に引っ越しています。ここで最期をむかえたようです。(「地図御用所」案内板・東京メトロ日比谷線<茅場町駅>1番出口付近)

大日本沿海與地全図」は「伊能図」ともいい、小、中、大と三種類ありました。小は1里(約4㎞)を3分(約1㎝)とし全3枚、中は1里を6分(約2㎝)とし全8枚、大は1里を3寸6分(約11㎝)として全214枚からなりたっています。

将軍家斉に見せたときは日本東半分の地図でしたが、300畳の大広間いっぱいになったそうですから大きいのを並べたのでしょう。インパクトがあります。

人に対しては身内でもきびしいところがり、娘婿、息子、弟子などと縁を切ったりしています。後に許したりもしていますがコツコツ積み上げてきただけに<誤差>に対しては厳格だったのかもしれません。天才肌というよりも地道に踏みしめて成果を残していくというタイプと言えそうです。

赤丸の上野にある源空寺には、伊能忠敬、高橋至時、高橋景保、そして谷文晁、幡随院長兵衛と妻・きんの墓があります。上の地図の16の幡随院は幡随院長兵衛が身を寄せた寺といわれ小金井に移転しています。

志の輔さんが新作落語「大河への道」伊能忠敬物語 を作られ語られれているのを知りました。どんな感じなのか興味ひかれます。映画にもなるそうで楽しみです。

立川志の輔独演会 大河への道 伊能忠敬物語:香取市ウェブサイト:香取市観光サイト (katori.lg.jp)

大河への道 (shochiku.co.jp)

追記: 30日夜の『古典芸能への招待 ー中村吉右衛門の至芸ー 』(NHK Eテレ)は一つ一つの役が脳裏によみがえり焼き付きました。幡随院長兵衛は押し出しも立派でセリフ回しもお見事、任侠の心意気が力強さの中に繊細さを垣間見せるという二代目ならではでした。二代目といえば吉右衛門さんです。

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