新しいことに挑戦・平賀源内、伊能忠敬、間宮林蔵(4)

シーボルトは、滞在期間の5年がきて帰国をすることになりました。そして荷物を船に積み込みました。ところが大きな台風がきたため、船は港の外に押し出され、再び湾内に押し戻され浜に乗り上げてしまいます。船を海に浮かべる復旧工事のため船内の荷物は陸地に移動。

空き地に保管された荷物を長崎奉行所が調べはじめたのです。今までなかったことでした。荷の中から持ち出し禁止の品々がでてきたのです。もちろん日本地図は禁止です。景保は捕えられてしまいます。

その以前に林蔵のところに景保からシーボルトからの林蔵へ渡してほしいという荷物が届きました。その時林蔵は勝手に開けないで奉行所へ届けてそこで開けました。怪しい物はなく手紙には林蔵の偉業をたたえることが書かれていました。

当時異国人との手紙のやり取りもおおやけには禁止されていました。奉行所は景保とシーボルトの親しい関係に疑いをもったのです。そして船の荷物から出てきた地図です。他にも捕えられた人々が多くいました。これが「シーボルト事件」です。

景保は牢死してしまいます。その遺体は塩漬けにされ判決が出て死罪と決まり遺体の首をはねられました。

このむごたらしい処置などもあり人々の同情が景保に集まり、林蔵は密告者とされ裏切者よばわりされてしまいます。林蔵は蝦夷探検でロシア人との戦さも体験していて外国人が嫌いでした。信用していなかったのです。

世間というものに林蔵は鬱屈した気持ちにさせられたからでしょうか。その後、隠密の仕事につき幕府にたてつく者、法にふれる者を探し出しました。隠密を辞めた後は深川でひっそりと暮らしたようです。

ヨーロッパでは産業革命により商品を売る先をアジアに求めていたのです。通商で門戸を開き新しい知識を得る時期に来ていたのです。

シーボルトは故国に戻ってから『日本』という本をあらわし、その中に間宮林蔵の樺太探検のことも書き間宮海峡の発見者として紹介しました。間宮林蔵の名は世界中に知れ渡ったのです。なんとも皮肉なことでした。シーボルトは万有学者としての立場に立ってのことだったのでしょう。業績は業績として認めたのです。

新しい知識を得た若者たちがその後も幕府の弾圧に会います。明治までの道のりには血なまぐさいこともたくさんありました。

シーボルトは日本の動物誌や植物誌も発表しています。日本を追放されたシーボルトは30年後追放令を解かれ再び日本にきます。そして、日本で最初の女性産科医となる娘のいねと再会するのでした。その頃日本は尊皇と佐幕で混乱していました。

1853年アメリカのペリーによって開国となりますが、ペリーはシーボルトの著書を読み日本についての知識をおさえていたといわれます。

楠本いねに関しては四国の宇和島で出会っていました。さらなる出会いの機会が訪れ嬉しいです。宇和町・大洲町散策  四国旅(5) | 悠草庵の手習 (suocean.com)

ここまでくると、観た舞台や映画などが思い浮かび再度見かえしたものもあります。

大黒屋光太夫では、映画『おろしや国酔夢譚』があります。歌舞伎『月光露針路日本 風雲児たち』があり、シネマ歌舞伎にもなりました。シネマ歌舞伎では8月にまた劇場で上映されるようです。

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三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち

映画『天地明察』。主人公・安井算哲が、後に渋川春海となり初代・天文方となったとラストに字幕があり、今回は天文方に即反応しました。役職として前回より身近になりました。

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明治時代はとにかく西洋を手本に新しさが正しいこととして進みます。暦も太陽暦に変わります。明治5年12月3日が新暦で明治6年1月1日になるのです。師走が2日しかありません。そんなときの庶民の動向を描いた舞台が前進座創立80周年記念公演『明治おばけ暦』です。今までのものは旧弊とされ、新しさをきちんと説明もなくどんどんどんどん進んでいくのです。

時代の流れは、新しいものを求めればダメだといい、今度は古いものに安住しているとダメだという。とかくこの世は生きにくい。そこをしたたかに生きましょうか。もう一度観劇したい作品です。

明治おばけ暦

児童書の旅は知らないことがザクザクでてきました。何かあったらまた児童書にお助けを要請することにします。

楠本いねさん、上手く髪を結えないため、父のシーボルトが残してくれた薬を測るさじを巻き上げた髪の髪留めにします。これは事実かどうかはわかりません。創作かも。アニメの『本好きの下剋上』のマインを思い出しました。この髪留めが評判になりマインは髪飾りを作り、新しいつながりを持つことになるのです。どこに出会いが待っているのかわかりません。

『天と地を測った男 伊能忠敬』(岡崎ひでたか・著) 『星の旅人 伊能忠敬と伝説の怪魚』(小前亮・著) 『間宮林蔵』(筑波常治・著) 『シーボルト』(浜田泰三・著) 『銀のさじ ーシーボルトのむすめの物語』(武田道子・著) 

追記: 一月に国立劇場で公演された歌舞伎『南総里見八犬伝』が、明日2月6日(日)23:20~1:54、NHKBS プレミアム「プレミアムステージ」で放送予定です。『八犬伝』を始めて舞台で観たのは1994年新橋演舞場での『スーパー歌舞伎 八犬伝』でした。2015年(平成27年)にはやはり国立劇場で菊五郎劇団の『南総里見八犬伝』を観ていて上演台本も購入しましたので、今回はどう変えられたのかも注目したいと思います。曲亭馬琴さん、地図の中でおとなしくはしていませんでした。

追記2: 今回の『南総里見八犬伝』は伏姫の場面をなくし、そのほかも短縮して八犬士の出会いをはっきりさせ、躍動的な部分を強く印象づけていました。左近さんが下半身が安定していてシャープな動きが美しかったです。12月歌舞伎座『信濃路紅葉鬼揃』で先輩たちに混じって頑張っていましたからね。

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