新橋演舞場 再演『ワンピース』観劇一回目

2015年の『ワンピース』が帰って来ました。ただ猿之助さんのルフィが難破したらしいとの情報が入り心配でしたが、白い島に無事漂着したらしいので先ず一安心です。その次の日に尾上右近さんの代役二代目ルフィ(二代目といってよいとおもいます。)を観劇することとなりました。

実は、チケットを取る日が遅れて、特別マチネの券は購入できなかったのです。仕方がない、マチネは11月と思っていましたら、10月に観れることとなりました。11月にはマチネの役者さんもかなり役が身についているでしょうとおもっていたのですが、何んと10月の始めからこの出来上がりなのかと驚きました。

結果的に、猿之助さんの演出家としての力を見せつけられたのと、初演の『ワンピース』が練り込まれてバージョンアップして個々の役が濃厚になり、その中で鍛えられ、二代目ルフィを持ち上げて舞台に飛ばすことができたわけです。事故は突発的なことですが、舞台はそれに対処できるように積み上げられていました。

2015年の感想で 新橋演舞場 『ワンピース』 <2年後には船長ルフィと仲間が船出できることを祈る。>と書きましたが、それはこの歌舞伎演目、海外に船出できるとの想いからだったのです。それが新橋演舞場に再上陸して観劇し、そうかここまでバージョンアップできる可能性を秘めていたのかと納得しました。

ハリウッドで実写映画が作られるということですから、実演で海外に船出するチャンス到来とおもいますが、宙乗りは海外では無理なのでしょうかね。猿之助さん白い島で考えて下さい。

ニコ・ロビン、ナミ、ゾロ、ブルック、ウソップ、サンジ、フランキー、チョッパーの見得のあと後方に名前が出ます。これは大助かりです。ウソップに抱かれたチョッパーに関しては名前が出たかどうか定かではありません。(11月にしっかり注視します。)

尾上右近さんのルフィでわかったのは、猿之助さんはルフィをゴム人間としてゴムまりのような動きを考えられていたようです(勝手に)。狐忠信は人間の姿で狐の習性を見せそれが形となっています。ルフィもそでに去るときゴムまりの弾むような走り方をするのを見て思った次第です。

手が伸びるところで手だけを見せる何人かの黒い衣裳の人と組み合わせて手を伸ばすときのルフィが、間で踊りのような手を使った綺麗な動きを見せますがこのあたりもただ手が伸びるだけではない歌舞伎ならではの動きでした。

ルフィは、兄エースや白ひげや仲間たちに対する想いが膨らむと物凄い弾みがでます。そして自由にどこでも転がって忍び込んだりします。しかし、その対象がなくなると空気が抜けたように動けなくなってしまいます。空気を入れてポンと弾ませてくれる力が必要なのです。その場面も後半の女ヶ島で丁寧に描かれたとおもいます。

ボンクレーと出会う大監獄インペルダウンも前回より印象的になっていますし、ニューカマーランドは、イワンコフを中心にやはり可笑しくて楽しくて愛すべき集団世界でした。

エースを捕らえたセンゴクを頭とする海軍一団も、つるが数回でることによって、人数が増えた白ひげ海賊団とのバランスもとれました。白ひげとスクアードの関係にプラスされて白ひげ海賊団がマルコなど登場人物がふえていました。尾上右近さんは、マルコとサディちゃんで大阪の松竹座から参加されたわけですが、こちらは、隼人さんのマルコで観ることとなりました。宙乗りありで羽根のような衣装がぴったりで、マルコが芝居の中に上手くはまっていて白ひげをより大きくしました。

エースは福士誠治さんから平岳大さんで、赤犬サカズキとの戦いの場のドグマの映像はなかったように思うのですが、(二年前に一回の観劇でしたので、反省し今回は11月も観劇します。)迫力がありました。岩の崩れるところ、他の海賊船が現れる映像も今回印象的でした。

平さんのエースは福士誠治さんのエースより大人っぽい感じで、シャンクスは恰好よく決まっていました。

本水も相変わらず頑張っていて、マゼラン前回あんな高い所から飛んだっけ、体重大丈夫かな。客席への水かけサービス多くなったような。看守役の人たちこんなにすべったかな。お風邪には要注意です。

初参加の新悟さんも前から参加されているような感じで、ニョン婆と三人姉妹のこともよくわかりました。冷静なマリーゴールド、それに従う新悟さんのサンダーソニア、サデちゃんで発散しています。『弥次喜多』で七之助さんに診断されていた竹三郎さんが女医ベラドンナで名医です。

ルフィとハンコックの早変わりもスムーズで、何の問題もありませんでした。元気いっぱいの尾上右近ルフィですが、これからもう少しゴムの弾みと、稚気が加わるといいなあと思いました。まだ少し尾上右近さんの演じるルフィですが、次第に尾上右近ルフィになっていくことでしょう。

ということは、猿之助さんは安心して白い島の駕籠の鳥として、もっと遠くの海と空を眺めていてもいいということになります。さらなる風を集めて帆をあげるために。

『TETOTE』のこの部分速くて波に乗りそこないそうになるんですよね。もちろんファーファータイムはスーパータンバリンで盛り上がりましたよ。マーガレットさんとスイトピーさんごめんなさいです。そちら見る暇なくて自己流で叩き続けていて、終わってみれば左手が痛かった。来月はきちんと指導に従います。以上。

追記: 昨年、シネマ歌舞伎『ワンピース』 見ていたのだ! ぽっかり抜けていました。ショック! 今回の実際の舞台を観つつ脳が探していたのは映像ではなく2015年の舞台の残像なんですよね。しかし、映画を見た事を忘れていたというのはかなり問題ありです。

11月に観に行った時、尾上右近さんのルフィ忘れていて、尾上右近さんのルフィ初めて観ましたと書いたら完全に問題ありです。しかし、猿之助ルフィがうかんだとしてもそれは問題ありとはいえません。

結論です。舞台は自分の眼でとらえたいように主体的に観ていますから記憶として残りますが、映像は誰かさんの勝手な眼ですから記憶としての濃度が薄いのでしょう。そういう事にします。呂上。

 

 

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