記憶の扉 (1)

記憶の中に鮮明に残されている映画のシーンがある。出演者は判っている。

中原ひとみさんと江原真二郎さんである。二人は恋人同士らしい。中原さんが小さな食堂の店員で食堂の横の狭い路地で江原さんと話をしている。江原さんが中原さんを励ましているようでもある。もう一つの場面は中原さんの腕に紫色の斑点がでている。 この二つのシーンだけが、ずうっと残っていた。この映画を見たのか、それとも他の映画の時予告編で見たのか記憶に無い。見たとすればおそらく小学校に入るか入らない頃である。その後、水木洋子さんという脚本家が居た事を知る。小学校で見せられた映画「キクとイサム」の脚本も書いていた。紐解いていくと、これも、それも、あれもと、どんどん繋がってゆく。そして、どうやら記憶の映画は「純愛物語」であるらしいと目星がつく。いつか会えるだろうと思っていたら古本屋のチェーン店でDVDの「純愛物語」に出会う。半世紀を過ぎての出会いである。

この出会いは映画と同時に水木洋子さんという、ひとりの脚本家(人としても)に対する、個人的共感と信頼感(一方的)のような気がするし、これからも事あるごとに考えたり癒されたりする方だと思っている。

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