監督歌舞伎通 映画『唄祭り 江戸っ子金さん捕り物帖』

DVDのタイトルには、<美空ひばり 唄祭り 江戸っ子金さん捕り物帖>となっているが、ひばりさんは控えめである。映画名のタイトルに<美空ひばり>はない。川田晴久さんが軸として動き唄いまくる。気楽に見ていたら、あれあれあれと歌舞伎に関係する場面が出て来る。

先ず、芝居小屋での芝居が『児雷也』である。宙乗りもあり、舞台正面で宙乗りで新年の挨拶をしていたら、その役者さんが殺されてしまう。川田晴久さんは銀次といい、スリである。銀次が頂戴した財布には三人の名前が書かれていている紙が入っていて、その一人が殺された役者である。イナセに町歩きをしている遠山の金さんの若山富三郎さんは、銀次が情報集めとして使えるとし、岡っ引きに取り立てる。銀次が手にした十手が普通のものより大きい。歌舞伎の『毛抜』や『矢の根』に出てくる物をもじっているのである。     歌舞伎座 『團菊祭五月大歌舞伎』 (昼の部 2)  歌舞伎座 『團菊祭五月大歌舞伎』 (夜の部 1)

ひばりさんは芝居小屋の太夫で舞台で舞い唄う。ひばりさんは勘が抜群なのであろう。こういう場面も上手い下手を気にせずに楽しませてくれる。娯楽ものの必須条件である。遠山の金さんはこの太夫には裏に何かあると目星をつける。

岡っ引きの銀次が嗅ぎまわるので、銀次は悪人に連れ去られこれ以上深い入りするなと脅され返される。その場所が判らない。遠山の金さんから何とかして思い出せとの言明である。お勝手で妹が口ずさんでいる唄に聞き覚えがあり、何んという唄かと銀次は尋ねる。通い始めた小唄のお師匠さんから習った『吉原雀』と妹が答える。囚われた時、銀次はその唄を耳にしていたのである。長屋の皆でその師匠の所へ弟子入りする。そして銀次は外で様子をうかがう。この場面の『吉原雀』がしっかり嬉しくなる長さなのである。歌舞伎舞踊として『吉原雀』は人気演目である。

「その手で深みへ浜千鳥 通いなれたる土手八丁 口八丁に乗せられて 冲の鷗の二挺立(にちょうだ)ち 三挺立ち 素見(すけん)ぞめきは椋鳥(むくどり)の 群れつつ啄木鳥(きつつき)格子先(こうしさき) 叩く水鶏(くいな)の口まめ鳥に 孔雀(くじゃく)ぞめきで目白押し 見世清掻く(みせすががき)のてんてつとん さっさ押せ押せえ」

師匠のところには、銀次を連れさってきた男がいたが殺されてしまう。色々調べていくと、太夫は、お取りつぶしになった家のお姫様で、悪人の家老がその恨みを晴らそうとしていたのである。それに対し姫は疑問視し始める。悪人は捕まり、遠山の金さんの粋な裁きで姫と側近の若侍は旅へでる。

監督/冬島泰三、原作/木村重夫、脚本/中山淀次、撮影/河崎喜久三

スタッフの方々は、時代劇に造詣が深いので、歌舞伎関係も頭の中にしっかりあるであろう。楽しんで、この場面はこうしようとか考えられたのではなかろうか。川田晴久さんが出てくれば歌である。ひばりさんは川田さんからエンターテイメントな部分を沢山学ばれている。ただ次第に川田さんに時代の古さが出てきている。他に、嵯峨美智子さん、柳家金語楼さん、堺駿二さん、山茶花究さんも出られている。

時代劇盛んなころは、美術さん、衣裳さん、鬘を扱う床山さんなど、知識と経験が豊富だったであろう。鬘など役者さんの顔に合った物を使われている。

鬘と云えば、泉鏡花の『日本橋』のパンフレットの表紙の玉三郎さんが素敵なので、観劇の先輩に見せたところ、即「鬘の鬢(びん)を抑えているのがいいわね。張り過ぎて無理に若作りにしていないのが好い。」との感想。なるほどそうきますか。こういう答えがポンと即返ってくるので、先輩たちとの話は楽しいのである。

先輩はテレビで『羽衣』を見たらしい。愛之助さん特集だったようだ。孝太郎さんと愛之助さん、玉三郎さんと愛之助さんの二通りを見せたらしい。愛之助さんは羽衣を見つける漁師である。「孝太郎さんの時は愛之助さん元気だけど、玉三郎さんのとき、ははぁーってかしこまっていたわよ。」 笑ってしまう。それだけでどういう雰囲気かわかるのである。「あの箱からドーナツに移せないのよ。見せたくても駄目なのよ。」充分言われている意味はわかります。

その箱から切符を出せよ。その中に入っているんだろ。いえお客さんこの中に入っているわけではないのです。だってその箱からさっきから切符を出しているじゃないか。大好きな『みどりの窓口』(志の輔)を思い出す。

昨日の朝ドラ見た。見た。見てない。あの人九州に行っちゃうのよね。だれ。ほらあの人。そうあの人。主人公の友達のあの人。えーと、ほらよく元気のいい先生役で出ていた。そうあのドラマに出ていたわよね。お父さんが宇津井健で。そうヤクザなのよね。ああ判ったあの人ね。(こんなこと書いていたら際限がない。)

 

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