『ダニール・トリフォノフ ピアノリサイタル』と『馬と歌舞伎』

『ダニール・トリフォノフ ピアノリサイタル』と『馬と歌舞伎』

二つの関連性は何もありません。プロのクラシックのピアノだけの音楽会は生まれて初めてと思う。学校教育での音楽の時間の音楽鑑賞は、今日こそ眠りに勝つぞと思ってもいつも睡魔には勝てなかった。ピアノだけとなるとなおさらである。それゆえ、感想など書くどころではないので、<と>ということで二つのことで字数を増やそうとの魂胆である。

苦手なピアノ・リサイタルになぜ行ったか。映画 『パガ二ー二 愛と狂気のヴァイオリ二スト』 『不滅の恋 べートーヴェン』 から 映画 『楽聖 ショパン』 『愛の調べ』 の映画へと音楽家の映画が続いたが、その時、ピア二ストでもあるフランツ・リストの技巧的なピアノ術に興味をもった。クラシックの場合、技巧的に走るのを嫌煙しているように思って居たのである。ダニール・トリフォノフさんという方がどんな方か全く知らないのであるが、チラシの演奏曲目の一つに注目した。 <F・リスト:超絶技巧練習曲集 S.139/R.2bより> 暗号みたいである。<リスト>と<超絶技巧練習曲> ここだけに注目である。ピアニストの指の動きを見たいがすでにそういう席は無し。

東京オペラシティコンサートホールである。驚いたのは、ピアノの音がおおげさに言うとぼあ~んと響くのである。CDなど聞いていると、ポンポンと切れるのにポンのあとに響きがあるのである。生演奏はやはり微妙な音域があるのであろう。

始まってすぐ、困ったことに、空調のため、喉が咳を要求する。両手で口を押さえ、口の中で舌を動かし唾液を分泌させ、何んとか難関を切り抜ける。静か過ぎてバックからハンカチも取り出せない。マスクを持参したほうがよさそうである。それからこういうところでは、靴音のしない靴がよい。何かで急に退出するとき歩けなくなってしまう。

演奏のほうは素晴らしかった。ピアノも体力勝負の格闘技に思えた。やはり技巧的であった。技巧的をわかって言っているのではない。指の動きが速い演奏も加わり、何かを表現しているのであろうと思うがその風景は観えない。しかし帰ってから、ピアニストのグレン・グールドの録画を見たくなって見たのであるから、相当の刺激を受けたことは確かである。自動ドアを開く位置には立ったようである。

『馬と歌舞伎』は日本橋三越でやっているイベントであるが、JRA60周年記念で、海老蔵さんがイベントの案内人ということで、歌舞伎の馬に関しても展示があったのである。競馬は興味がないので、歌舞伎の馬を見てきた。人が入り動かす馬である。競馬の馬も今日は走りたくないと思うこともあるであろう。歌舞伎の馬は競争はできないが、そういう時は戯人化して伝える能力がある。歌舞伎演目『寿三升景清ー関羽-』で海老蔵さんが乗られた白馬が展示してあり、なかなか立派である。馬の前の首のところから、前足担当の役者さんは舞台を見ることが出来ることがわかった。

下座音楽で使う<馬子唄鈴>も触ることができ、沢山鈴が付いていて軽やかな鈴の音を出す。竹でできた<馬のいななき笛>、街道や宿場を現す<駅路>と名のつく鳴りもの道具もあった。馬の足音を出すものも。『助六』が身につける印籠も展示されていて、黒地に真っ赤な牡丹で葉が金地である。助六さん、なかなかオシャレで派手な印籠を下げている。『勧進帳』の巻物は軸が水晶である。さすが、さすが、歌舞伎の小道具である。<超絶技巧>的である。

二つ、少しつながったようなのでこの辺で。

 

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