8.30国会包囲10万人集会と映画

8月30日、『国会包囲10万人集会』の安保法案反対の集会に参加する。その前に、7月28日の日比谷野外音楽堂での集会とデモに参加していて8月30日の行動を知る。7・28の集会では、脚本家の小山内美江子さんが元気な姿を見せられ、座ったままで良いというのでと、その場で発言された。かつて、小山内さんの著作を読ませてもらったので、この場に居なくてはとの力強いお元気な声が聴けて嬉しかった。集会が1時間位でそのあと国会までのデモであった。

8・30は、2時間の集会である。日比谷野外音楽堂は座っていれたが今回は立ち尽くしを覚悟しなくてはならない。

国会議事堂前は混むであろうと永田町駅で降車。永田町の駅構内には食事処があり、食べる予定ではなかったが空腹よりも良いと食事をする。お手洗いには15分くらい並ぶ。降車予定駅のもう少し手前の駅で済ませなかったのを反省。それから目的の改札口に向かうと、動きが取れないので他の改札へと案内があり、そちらへ回る。改札と階段はスムーズであった。外は人でいっぱいである。

さてさてどうしようか。国会正面までは迂回しなくてはならないらしいし、子供連れの方々もいるし、さらに込み合う必要もない。国会の裏とする。まずは歩道を渡り歩く。スピーカーからは、無理に進まずにそこに留まって下さいという。しかし、この位置はスピーカーの音が大きすぎ、長くは居られない。スピーカーの音が適度で、人の群がらないところを探すことにする。歩道の半分は参加の人々が三列ぐらいに並ばれている。後ろのほうの方は座られている。そのうち、集会が始まり政治家のアピールが始まる。

歩きつつ、スピーカーの設置位置により、全然聞こえない位置もあるのを知る。やっと右手に人々が程よく両脇に並んでいる歩道を見つける。スピーカーの音も程よい。ではゆっくりと拝聴しよう。位置を決める間に政治家の話しは終わっていた。時々、皆さんしっかり聞かれていて、時々笑いがあったり、拍手があり、シュプレヒコールが入り、それぞれの思いで時間が経過する。雨が降り出してもかなりのかたが傘以外の雨具持参である。こちらも、ポンチョを着る。

若い人たちのシュプレヒコールがラップ調で、<何々だー!>ではなく<何々だろう>と巻き舌になる。年配者も次第に調子に慣れてくる。

SEALDs(シールズ)のデモときは、時には過剰警備が疑われ弁護士が不当な扱いがないか監視して見回っているそうである。メッセージも映画関係となると耳がそばたつ。神山征二郎監督は師匠の新藤兼人監督の『一枚のハガキ』の意思を伝える。神山監督の『郡上一揆』秩父事件の『草の乱』『宮沢賢治』が頭に浮かぶ。坂本龍一さんがあきらめていたが若者に期待すると。坂本さんが出てくると、『戦場のメリークリスマス』を思い浮かべるが、よく解からなかった。デヴィッド・ボウイにハグされ戸惑う坂本さんの顔。たけしさんの「メリークリスマス」という時の笑顔。大島渚監督の映画のイチ押しは『少年』である。前日、京橋のフィルムセンターで数十年ぶりで観た。最初に観た時の想いは裏切られなかった。少年の心の内。雪一面の中の少年と三歳の弟。映像的にも美しかった。

横を歩く方々がそれぞれのメッセージを前にかざして通る。連帯の意思表示であろう。誰かとはぐれた人が携帯で連絡しながら歩いている。そんな動きもスピーカーから流れるメッセージやアピールの邪魔にはならない。発言者が係りの人に話が長いといわれているらしく、あと少しですからと焦られたりして聞いているほうにも笑いが起こる。シュプレヒコールのあと拍手で終わりそれぞれの思いを胸に帰路につく。2時間近く立ちっぱなしというのは後で応えた。主権は国民にある。

集会の日の夜、返す期日が迫っている映画『日本列島』(熊井啓監督)を観た。これは、芦川いづみさんが観たかったのである。芦川さんは、日活だけでなく、松竹系も似合いそうな女優さんであった。シリアス系もコミカル系もこなされていた。『日本列島』に、1960年安保闘争の国会前の抗議行動の映像が出た。

映画『日本列島』は、昭和34年に米軍基地で通訳として勤務していた秋山(宇野重吉)が、上司の中尉から、米軍の軍曹が殺された真相を調べるよう要請される。そこには占領下時代の闇の部分が介在していて、その闇の組織に父親を拉致された娘・和子(芦川いずみ)と秋山は出逢う。軍曹の死の真相の探索を頼んだ中尉自身から中止の命令があり、如何にやっかいな組織であるかがわかるが、秋山は真相究明を続ける。和子の父が沖縄で生きているらしいとの情報から秋山は沖縄に向かう。和子のもとに届けられたのは、秋山と父が殺されたという情報であった。

この知らせを聞いたときの芦川さんの演技が見事である。ラスト、国会をバックに和子が、胸を張って穏やかな表情で歩く姿には違和感があるが、負けるなという意味であろうか。下山事件、松川事件などの当時の迷宮入りの事件も映し出され、時代性が膨らみ、真相が隠されているので映画としては捕らえづらいが、そういう事もあったというドキュメンタリー的要素が強い映画である。劇団民芸の役者さん達が、リアリティーを加える。その中で芦川さんは大奮闘である。(原作・吉原公一郎/監督・脚本・熊井啓/撮影・姫田真佐久/出演・宇野重吉、芦川いづみ、二谷英明、鈴木瑞穂、武藤章生、大滝秀治、佐野浅夫、内藤武敏、北林谷栄)

日活がこういう社会派と言われる映画を創っていたのである。

映画人のほうが、今の政治家以上に勉強されている人が多いであろうと思える。政治家のお金目当ての私利私欲の姿がテレビの映像に現れそのリアルさに呆れかえる。演技賞は政治家に贈ったほうが良いかもしれないが、恥も外聞もなく国民に税金という観覧料を払わされているのに腹が立つ。

 

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