国立劇場 『東海道四谷怪談』(2)

塩谷判官(えんやはんがん)側でありながら裏切る者 →民谷伊右衛門(幸四郎)、直助(弥十郎)

民谷伊右衛門宅の人物→妻・お岩(染五郎)、宅悦(亀蔵)、奉公人・小仏小平(染五郎)、秋山長兵衛(廣太郎)、関口官蔵(宗之助)、中間の伴助(錦弥)

お岩の家族 → 父・四谷左門(錦吾)・妹・お袖(新悟)

塩谷判官側 → 四谷左門(よつやさもん)、佐藤与茂七(染五郎)、奥田庄三郎(隼人)、小汐田又之丞(錦之助)、矢野十太郎(松江)、赤垣源蔵(高麗蔵)

伊右衛門は悪事がばれ、お岩を実家に連れ戻されたことから舅・左門を殺してしまう。直助は、佐藤与茂七(染五郎)という許嫁のいるお袖に横恋慕して与茂七を殺してしまう。それでいながら二人は仇をとってやると姉妹に嘘をいい、お岩は伊右衛門のもとへ帰り、お袖は直助と夫婦になる。

お岩は出産し産後がおもわしくない。雇った下男の小平は傷に効くという民谷家に伝わる薬を盗んでいなくなってしまう。小平の主人は、元塩谷家来で仇討ちを目指す又之丞で、主人の又之丞が怪我をしたため薬を盗んでしまったのである。しかし見つけ出され伊右衛門宅の戸棚に押し込められてしまう。

高師直側 → 伊藤喜兵衛(友右衛門)、娘・お弓(幸雀)・孫娘・お梅(米吉)、乳母・お槙(京蔵)、医者(松助)

高家の家来である喜兵衛の孫娘・お梅が伊右衛門を恋い焦がれ、喜兵衛は、孫娘のために伊右衛門と祝言させることとし、邪魔なお岩に顔の崩れる薬を産後に良いと渡すのである。

ありがたがって薬を飲むお岩。お岩は突然熱がでて、顔が変貌してしまう。伊藤家に呼ばれていた伊右衛門が帰り驚き、さらに離縁するために宅悦にお岩と密通せよと言い残して出ていく。お岩は事の次第を知り、伊藤家に怨みの挨拶い行こうとし、宅悦と揉み合いとなり誤って死んでしまい、赤子は大きなネズミにさらわれてしまう。

帰ってきた伊右衛門は、小平がお岩を殺したことにし、無残にも、小平を殺してしまい、二人の死体を一枚の戸板に打ち付けて川に流してしまう。

伊右衛門は、祝言のためお梅を迎えいれるが、お岩の亡霊と思い込み、喜兵衛とお梅を斬り殺す。伊藤家は没落し、お弓とお槙は乞食となって伊右衛門を仇として追う事になる。

お弓とお槙が伊右衛門と巡り合うのが、伊右衛門が釣りに来た本所砂村隠亡堀であるが、二人とも非業の最期をとなる。ここで、伊右衛門は直助とも再会するが、お岩と小平を打ち付けた戸板が流れつき、戸板からお岩と小平の亡霊が現れ怨みをぶつける。

闇のなかで、伊右衛門と直助、そして、直助に殺されたはずの与茂七が通りかかり三人の探り合いとなる。与茂七は庄三郎と入れ替わって、直助に殺されたのは庄三郎であった。この場で、伊右衛門は母のお熊に会っている。

<深川寺町の又之丞の隠れ家>が上演され、殺された小平の忠義が浮き彫りとなりこの人のスポットライトがあたる。

又之丞の隠れ家 → 小平の父・仏孫兵衛(彌十郎)、伊右衛門の母で後妻のお熊(萬次郎)、小平の子・次郎吉、赤垣源蔵

刃傷沙汰の起こった足利家の門前にいて、十太郎に事の次第を聞いている。しかし、そこで怪我をして歩けなくなり小平の父宅にかくまわれていたのである。この主人のための小平は薬を盗み殺されてしまう。義士の一人である源蔵が討ち入りを知らせにくるが、ここでは、伊右衛門の母が、又之丞を罪に落とし入れようと策略し、又之丞は源蔵に見捨てられる。お熊はもと高家に仕えていたのである。そこを救うのが小平の亡霊である。

ここまでで、忠臣蔵の忠義の線の流れが、四谷怪談の間に編み込まれているのがわかる。四谷左門、与茂七、奥田庄三郎、小汐田又之丞、矢野十太郎、赤垣源蔵。殺された左門、庄三郎を意外は、討入りの場へと進むのであるが、お岩の亡霊は、その前に伊右衛門を又之丞によって討たせる。

お岩と小平の亡霊の伊右衛門に対する復讐の場である本所蛇山庵室は、お岩の亡霊を払おうとしているのである。お岩はお熊を殺し、伊右衛門を苦しめ、ついに復讐劇は完結へと向かうのである。この場の仕掛けも、じわじわとすうーっと展開されて夏の冬という雰囲気である。

 

 

 

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