見えない子供の貧困

日本で貧困のために食事を満足に食べれていない子供さんたちがいるという情報を目にしたり聞いたりしていましたが、それに関する話をきちんと聞く機会をえました。

「NPO法人 フードバンク山梨」の理事長の米山けい子さんのお話です。映像を見せていただきつつの適格で実際に行動されているかたの判りやすい説明、米山さんの静かでありながら理解しやすい話術に好感がもて、内実がよくわかり聞いてよかったと友人と同じ感想をもちました。

厚生労働省の発表によると、日本の子どもの貧困率は16.3%で6人に1人が「相対的貧困」状態ということです。日本でこの位なら生活できるであろうという所得にみたないということです。親としては自分の子どもがいじめられたりしないようにとほかの子どもたちと同じようにと頑張りますが、病気や失職などでギリギリの生活となり、そこで削っていくのが食費ということになります。

ひとり親の家庭の「相対的貧困率」は50.8%と高く、いちばん低いデンマークで9.3%ですから、ひとり親の金銭的、精神的負担は大変なものです。ひとり親ということで、その負担を子どもにかけたくないという気持ちがはたらき、そんな親の気持ちを察して子ども我慢して気持ちを外には出さないため、その実態を見えづらくしているのです。

SOSを受け取った地域のフードバンクはそうした人々の支援をします。その一つであるフードバンク山梨の活動を聞かせてもらったのです。<フードバンク>という活動さえしりませんでした。

フードバンク山梨ではその活動の一つとして、市民、企業、行政と連携して食料を支援しているのです。その家庭構成にあった食料品を宅配で送り届けます。アメリカでは50年前からこうした運動があり、視察などもして、アメリカのやりかたも学ばれたようです。たとえば、アメリカでは、学校で、お菓子など食料の入ったリュックサックを子どもに渡したりします。これは日本ではいじめの対象となり同じ方法はできません。

そこでフードバンク山梨で考えておこなっている方法が宅配便で届けます。たとえばスタッフが届けると、近所にも好奇の目でみられたり、送り主にも気を使います。そういう負担のない方法を考えられたようです。荷物の中にスタッフからの手紙が入っています。

この宅配を送られた家庭の子供たちは「宝物が届いた」と大喜びです。ある家庭では、皆で分け合い夕食でお腹がいっぱいにならない子が、働いているお母さんの分を食べようとして上の子に「残しておかないとお母さんの分なくなるでしょ。」と怒られるような状態なのですから、宅配の段ボールを開けた時の喜びの声は、歓声そのものです。

入っているお米と調味料をみて、今夜はカレーだねとか、おやつの袋に、一人二袋だけと調整する声が飛びます。しっかりおやつを握った手。そんな状況の反面、日本で毎日捨てられしまう食料の量のなんと膨大なことでしょう。

フードバンク山梨では、寄付金とともに、食糧品の個人の寄贈。そして箱が壊れたり、包装が破れたり、印字が薄くなったりして安全に食べられるが販売できない食品を企業から寄贈してもらい、それを必要としている家庭や施設などに届けているのです。

その食品の仕分けや荷造りなどは、ボランティアのかたが担当しています。高校生の学生さんなども協力されています。

どうしても内に内にとこもってしまい、困窮してどうしていいのかわからない状態の家庭がどこかとつながっているという意識を持ち、これから先も自分たちの力でやっていけるかもしれないという灯りとなっているように思えます。

米山けい子さんは一人で始められ、生活保護以外しか支援の道がなかった、生活に困っている方々の支援を「食のセーフティネット事業」とし、山梨モデルとしても注目され、報道関係でも紹介されるようになりました。

見えない貧困ということが次第に問題視されてきていますが、貧富の差がどんどん大きくなってきて、子どもたちが食べるものまで食べれない状態が日本にあるのです。震災や災害なども含めこんな時代がくるとは思っていませんでした。

立ち上がろうとする気持ちを大切にした支援。それが、日本にとっては大切な支援の仕方の一つのように思えます。学ばせてもらいました。知らないことが沢山あります。

親の貧しさが子の世代にまでつながってしまい、そこから抜け出せないという社会構造にはなって欲しくないものです。

 

 

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