石和温泉大衆演劇の旅

  • 老人会の旅と称して動線はゆるやかである。行先は山梨県の石和温泉にある大衆演劇つきの宿。友人はどんなところか心配している。大衆演劇のお値段もついての宿泊料に疑心暗鬼であったようだ。あっと驚く・・・「いいではないかあ!畳も新しい!」ようございました。その時はその時と思っていたのであるが先ずは通過。スパランドでもあるので館内はスリッパ無し。部屋にはたびソックスも用意していてくれた。一息いれて館内の散策である。お風呂は宿泊者用のロッカーもあり、浴用タオルは使い放題である。お風呂は大衆演劇が終ってからゆっくりと。ただここは天然温泉ではないが、満足。

 

  • 友人たちは大衆演劇初体験なので、興味津々である。四か所の飲食店のサービス券ももらったので先ずはこじんまりと乾杯して、大衆演劇の会場で食事とする。指定席を予約していたので、時間になると先に飲食されていたお客さんを誘導して席をあけてくれる。またまた乾杯。この旅で何回乾杯したことか。スパランド内藤は土日が大衆演劇昼夜、平日は昼のみの上演である。今回は気に入れば次の日昼の部を観劇する予定であった。

 

  • 友人達、気にいってくれて次の日の午前中は石和温泉駅までの送迎バスで石和温泉駅前に出る。観光案内でいくつかチエックして駅裏の大経寺へ。本堂前も綺麗に整備されていてお庭も有料で拝観できるが残念ながら応答なしで誰もおられなかった。そこからワイナリーへ。試飲などして買い物をして食事すると送迎バスでスパランドにもどる時間となる。もし大衆演劇がもう結構となれば、甲府に出て太宰治さんの新婚生活の場などを散策してもと思っていたが歩く気なしである。

 

  • 大衆演劇二日目。お芝居も舞踏ショーも前日と違うが何となく役者さんがわかり、あの役者さんは昨日のあの役の人ねとゴチョゴチョ、ヒソヒソ。ただ友人一人、座長さんの立役と女形とを別の人とずーっと思っていました。舞踊ショーは今日のほうが振り付けに変化があり、役者さん一人一人の個性が出ていて良かったとの共通意見。面白かったのが、二才の子がフード付きの衣裳で出てきた。この衣装、大衆演劇ではブームのようで笑ってしまった。うしろ向きになってフードを外しての見せ場なのであるがなかなかフードを後ろに外せないのである。何んとか外してお顔をばっちりである。

 

  • 口上の時も現れて、座長さんが舞台が好きでと言われていたが、もう音楽の世界に入りきっている。舞台中央の先端に座ってポーズをきめ、二段ほどの階段を飛び降り、客席の真ん中を通り舞台にもどりジャンプしたりしてきっちり最後まで自分の世界を披露してくれた。最後の群舞にも出て来て自分なりの踊りをしていたが皆さん移動して踊るのでちょっとぶつかって泣き出してしまった。でも誰も慰めてはくれない。役者さんは皆さん自分の踊りを続けている。どうするのかなと見ていたら、泣いてる場合か!とばかりに踊り始めて前のほうに前のほうへと移動していた。あっぱれ!こうやって幼い頃から芸を身につけていくのかと納得。

 

  • 20代で座長になられる方も多く、20歳くらいまでには最低一か月昼夜別芝居をできるだけの数の芝居を覚え込まなくてはならないであろうし、怪我や病気などの団員さんもでてくるであろうから、その場その場で臨機応変に対処できるノウハウも身に着ければならない。2歳くらいからやっても時間は短いともいえる。

 

  • 後方と前方と観劇でき、友人達も大満足であった。休憩のときはまた乾杯。こんなに一生懸命演じるとは思わなかったと。また老人会宜しくとのことである。そしてお風呂のあとは、また飲んで、しゃべって。次の日一緒に山梨県立美術館に寄る予定であった友人が、少し飲み過ぎのため先に帰る友人と共に帰ることとなり、石和温泉駅で別れて一人山梨県立美術館へ。

 

  • シャルルー=フランソワ・ドービニー展』。どこかで観ているのでしょうが印象に薄い。「バルビゾン派から印象派への架け橋」とあり、バルビゾン派はどちらかというと好きではなく、「架け橋」にひかれたのである。バルビゾン派の画家の一人で個展を開催されたことがなく、没後140周年企画といことである。後年、サロン(官展)の審査員をつとめ印象派の画家たちを応援した。モネが落選したときドービニーはそれに反抗して委員をやめている。

 

  • 面白い人で、アトリエ船「ボタン号」に乗って移動しつつ絵を描いていて「旅する画家」と呼ばれた。挿絵で生計を立てていた時期もあり、エッチングの版画で『船の旅』を出しており、ゴッホもその版画を集めていた。ゴッホは『ドービニーの庭』の作品もあり、ドービニーのアトリエのあったオーヴェルがゴッホの終焉の地である。ゴッホがオーヴェルに行った時はすでにドービニーは亡くなっていたが非常に敬愛していたようである。

 

  • モネも船上での制作を試みたことがあり、特別出品の『セーヌ河の朝』は時間の流れにともなう光からの色の変化を追求するモネの原点に、ドービニーの影響を示唆している。ドービニーは船での移動で観る自然の風景が時間によって変わることを体験したからこそ、印象派の新しい若き画家たちの絵を理解し後押しできたのであろう。「架け橋」とは大事である。甲府市に宿泊した人は割引きしてくれた。(12月16日まで) 同館のミレー館ではミレーの『角笛を吹く牛飼い』が約100年ぶりの一般公開であった。

 

  • 新宿から甲府まで高速バスもある。日中は30分おきに出ていて、特急便は2時間くらいで甲府駅まで行き、途中、石和で停まる。このバス停で降りると徒歩10分で石和温泉駅につく。平日限定の二枚回数券「トクワリきっぷ」が3000円である。甲府まで片道・2000円であるからかなりのお得である。おそらく石和までもあると思う。石和温泉駅で送迎バスを待っている間、色々な宿のむかえの車がきて石和温泉元気じゃないのと思ったが、20年前にくらべると落ち込んでいるそうだ。外国のかたは、外国経営の宿に泊まるそうである。石和温泉に行こうなんて思ってもいなかったので、これをご縁に石和(いさわ)温泉心にとめておこう。

 

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