京都の旅 ・京都の建具、工芸術(1)

渋谷オーチャードホールでの玉三郎さんと太鼓芸能集団・鼓童とのコラボ『幽玄』に魅せられて、もう一度と思っていましたらロームシアター京都での公演が決まりました。では観光も兼ねてと実行したのですが、音が違っていました。

色々な条件の重なりもあるのでしょうが、ロームシアター京都の音響が、和楽器の音の微妙さを捉えるには不向きに思えました。最初の締太鼓のときからオーチャードホールと比較すると違和感を感じてしまい、何か違う何か違うと思いつつ聴いていました。玉三郎さんの腰鼓の羯鼓(かっこ)と鼓童のかついだ桶胴太鼓とのセッションも羯鼓(かっこ)の音がとらえられないのです。

お箏はきちんと音をとらえていました。洋楽器のシンバルのような和楽器の手平鉦(てひらがね)なのか妙鉢(みょうはち)なのでしょうか、その音もよく響いていました。後半から太鼓も大きな音はよく響くのですが響き過ぎの感じでした。舞台最終に向かっての盛り上がりかたは素晴らしく何回もカーテンコールとなり、こちらもしっかり拍手しましたが、オーチャードホールでのあの最初からの幽玄さではないとの感はぬぐえませんでした。コンサート会場によって音というものが違うのだということを感じさせられた次第です。

管弦楽用の音響なのでしょうか。笛も神経質な響きにおもえました。和楽器の細やかな音の響きがオーチャードホールのようには伝わってきませんでした。そう思ったのは私だけなのかもしれません。最初にいい出会いをすると、それが誇大妄想になっているのかも。でもやはり最初がよかったです。

しかしそういう意味では和楽器を考えての造りの歌舞伎座などの和楽器の響きにはやはり適しているのでしょう。だからといって、太鼓集団が歌舞伎座でより発揮できるのかどうかはわかりません。歌舞伎もいろいろな劇場で催しますが、役者さんたちもそれなりの違いを感じつつ調整されつつ演じられているのでしょう。旅での公演は音響、舞台の大きさ、楽屋、大道具の置き場所など気苦労も多い事とおもいます。

ロームシアター京都は平安神宮のそばのお洒落な建物でした。休憩時間には、外のテラスでちらっと見える街灯りをながめつつ飲み物を賞味でき、季節がら心地よい空気でした。何より嬉しかったのが、『細見美術館』の目の前ということです。コンサートの前思う存分ゆっくりと鑑賞できました。

 

 

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今回の旅は、京都の建物の建具や工芸の腕前を堪能する旅となりました。お得な宿泊つきフリーがありそちらにお任せで、宿泊が地下鉄の烏丸御池駅近くでしたので、先ずは、ロームシアター京都からは歩いて地下鉄東山駅から一本で三つ目の駅ですからとても楽でした。

地図をながめつつ、今回は後回しにされている島原の『角屋(すみや)』へ行くことにしました。京都駅から山陽線(嵯峨線)で丹波口駅へ。見学後は、山陽線で一つ先の二条駅で地下鉄東西線に乗り換えれば二駅で烏丸御池にいきますからホテルで一息ついて、地下鉄で東山に向かい、『細見美術館』を鑑賞してから『幽玄』へ。

雨が降っても予定を変える必要なしです。上手くはまってくれました。そして、その流れが、京都の建具や工芸品の数々を眼にする旅の始まりとなったのです。そして、琳派・若冲とアニメのコラボにまで行き着いてしまいました。

さて京都の島原は、江戸時代から公認されていた花街(かがい)で、江戸の吉原の遊郭とは違います。(説明されたかたが強調されていました)花街は、歌舞音曲を愉しみながらの宴会の場所なのです。『角屋』はその揚屋(今の料亭)で、二階を建てることを許されたので二階をあげるということから揚屋というようになったとも言われているそうです。

 

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説明を聴く場所が「松の間」で枯山水の庭に臥龍松(がりゅうまつ)の見える部屋なのです。昼間は俳諧師などが句作をして夜は宴会という文芸の街であり、お庭にはお茶室も三つあるとのこと。

 

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「松の間」は、新撰組の芹沢鴨(せりざわかも)さんが最後に宴会をした部屋でもあります。ここで酩酊し(酩酊させ)、お客を泊まらせませんから駕籠で壬生の屯所八木邸に帰り暗殺されるのです。『角屋』から真っ直ぐ北へ進めば(上ル)壬生です。

玄関には、刀置きがあり、さらに帳場のそばに刀入れの箪笥がありました。『角屋』は料亭ですからお料理も作っていまして大きな台所があります。歌舞伎の『伊勢音頭恋寝刃』を思い出しました。料理人の喜助が刀を預かります。油屋も料理を作っていたことになりますが、遊郭の場合は、仕出し屋から料理をとります。その辺は芝居のために料理人という設定にしたのかもしれませんが、伊勢はまたちがうかもです。

 

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「松の間」の柱には新撰組の刀傷があり、『角屋』では騒乱は起きていないので、本来刀を持っては入れないのに持って上りいやがらせのためではないかとのことで、新撰組の悪い評判はこんな行為からもきているのでしょう。この刀傷をみると人斬り刀の威力にゾッとします。

 

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置屋から太夫や芸妓が揚屋に派遣されてくるわけで、その道中が太夫の道中でもあるわけです。江戸吉原では花魁道中といわれています。

二階が別料金となりますが、建具らに手を尽くされた部屋がならんでいて説明つきで見学できます。

 

2017年9月25日 | 悠草庵の手習 (suocean.com)

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