幕末の先人たち(3)

佐久間象山を暗殺した刺客の一人に河上彦斎(かわかみげんさい)がいます。「人斬り彦斎」の異名があり、漫画『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚』の緋村剣心のモチーフといわれています。映画『るろうに剣心』を観ていますが、河上彦斎とつながると知ってもフィクションとしての想いが強いです。

るろうに剣心』(第1作)、『るろうに剣心 京都大火編』(第2作)、『るろうに剣心 伝説の最期編』(第3作)と観ていますが今回は『るろうに剣心 最終章 The Final 』第4作)、『るろうに剣心 最終章 The Beginning』(第5作)を鑑賞することにしました。第5作の『るろうに剣心 最終章 The Beginning』を先に観てそれから第4作の『るろうに剣心 最終章 The Final 』をという逆の見方をしました。

るろうに剣心 最終章 The Beginning』は剣心の頬の十字の傷のいわれと鳥羽伏見の戦いで新しい時代が来たと剣心が刀を捨てるまでが描かれています。そして『るろうに剣心 最終章 The Final 』では、剣心が暗殺した相手の婚約者までも斬ってしまいその弟が姉の復讐のため剣心の前に現れるということで第5作目を先に観ていたので謎もなくすーっと入っていけました。

剣心は高杉晋作の奇兵隊に参加し腕をかわれて桂小五郎のために「人斬り抜刀斎」として役目を全うし、新しい時代と共に刀を逆刃刀として人斬りをやめたわけです。ところが10年後新時代となっても「人斬り抜刀斎」の名は消えることがなく何かと争いに巻き込まれて闘うことになるのです。

そこからまた第1作から第3作までを見直しました。時間がたつと忘れているものです。一応流れがはっきりしました。

『銀のさじ ーシーボルトのむすめの物語』(武田道子・著)の中で村田蔵六(後の大村益次郎)という人物が出てきてシーボルトの娘・楠本いねと交流しています。大村益次郎は大河ドラマ『花神』の主人公ということで、総集編をDVDで観ました。

村田蔵六は山口県山口市鋳銭司(すぜんじ)に村医者の息子として生まれます。大阪の緒方洪庵の「適塾」で学び塾頭となります。長崎にもいっています。

「適塾」の様子が大河ドラマ『花神』では一応着物に袴姿で、テレビドラマ『幕末青春グラフィティ 福沢諭吉』では塾生は上は襦袢の短い下着のような物を着て下はふんどしといういでたちで若さを誇張しているのかなと思いましたら後者の方が本当のようです。さらに食事も立って汁をかけて食していましたが、これは福沢諭吉が「慶應義塾」でも実践していたようです。

「慶應義塾」というとオシャレなように感じますが、福沢諭吉さんはめったに洋服を着ず着流しの着物ですごしたようです。朝早く散歩に出るときは着物を尻はしおりにしていて下駄。庶民そのものだったそうで、塾生が自然に集まってきて、そんな塾生にはせんべいを配り、塾生はせんべいをかじりつつ話をしました。「おなかがすいたまま運動するのはからだによくない。」ということらしですが、もう一つ時間を惜しめということもあるんじゃないでしょうかね。

花神』の話にもどりますと、大村益次郎は父に戻れと言われ優秀なので惜しまれつつ鋳銭司に帰ります。ところが世の中は外国船によって混乱をきたしはじめ、蘭学者知識が各藩で必要だという考えがでてきます。

蔵六は宇和島藩に蘭学者として仕えることになります。蔵六は兵学にも新しい知識をもっていました。ここでシーボルトの弟子・二宮敬作と親交を深めます。二宮敬作は楠本いねの産科医としての勉学の後押しをしており蔵六はいねを紹介され蘭学の医学の講義などもします。

洋式軍艦の試作などもし、軍艦が動いたと藩主たちを喜ばせます。その後江戸で塾も開きますが、今度は長州藩の桂小五郎(後の木戸孝允)に請われて長州藩につかえます。これからが長州藩の倒幕までの激動の時代をともにするわけです。

長州藩の中も佐幕派と討幕派が綱引き状態で行ったり来たりと目まぐるしいです。血もたくさん流されます。ドラマを観ているうちはなるほどと思うのですが観終わってしばらくすると時間の流れの前後があやふやになってしまっています。劇団で鍛えた役者さんも多数出演していてその役どころにも目がいきます。

村田蔵六は大村益次郎と名前を変え、錦の旗を手にした長州藩から今度は明治新政府の軍事改革者となっていきます。実際の戦いの実践はないのですが頭の中には戦さの勝利への青写真はできています。多くの戦さの勝敗の資料が頭の中にあってそれをフル回転して新たな様式の戦術を加え考え出していくのです。

さらに軍隊の中心は日本の中心の大阪におくべきだと主張しそれを実行に移すべきと自分も西にむかいます。京都方面はまだ危ないから行かない方がよいにと注意されますが、いややはり自分の目で確かめなくてはと京都に宿をとります。この西の固めはその後の西郷隆盛が挙兵した西南戦争を押さえることになります。

京都の京都三条木屋町の宿で刺客に襲われ重傷です。命はとりとめましたが傷口からバイ菌が入り左足を切断する手術を受けます。その助手をしたのが楠本いねさんでした。いねは大村益次郎が亡くなるまで看護しました。

そういう人であったかと大村益次郎さんの一生をみたわけです。

河上彦斎はこの大村益次郎暗殺者の一人をかくまったとされ、そのほかの新政府への暗殺の嫌疑をかけられ斬首されてしまいます。河上彦斎は名の知れた人の暗殺は佐久間象山だけで、それを自慢にしていたとか、後悔してその後は人斬りをしなかったとかいろいろ憶測があります。『るろうに剣心』の緋村剣心のような明るい時代は訪れなかったようです。

佐久間象山の子が河上彦斎を敵として仇討ちのため新選組に入ったのは事実のようです。勝海舟が新選組によろしくということでしょうか、お金を送ったようです。

様々なことが交差していました。

ここまででお世話になった本  「銭屋五兵衛著」(小暮正夫・著)、「渡辺崋山」(土方定一・著)、「福沢諭吉 「自由」を創る」(石橋洋司・著)、「佐久間象山 誇り高きサムライ・テクノクラート」(古川薫・著)、「大塩平八郎 構造改革に玉破した男」(長尾剛・著)

追記: 西郷輝彦さんの舞台は新派120周年記念『鹿鳴館』、藤山直美さんとの『冬のひまわり』、三越劇場での『初蕾』などで鑑賞させてもらいました。角の無い、芝居の中に自然に溶け込まれて調和され光を当てるという役者さんでした。(合掌)

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