初アニメ『本好きの下剋上』

昨年の八月の緊急事態宣言解除で二人グルメを再開。趣味とか話す傾向が違うので久しぶりの対面おしゃべりはしっかり聞きたいことを聞けるように二人グルメが多かったのですが、その中でも12月のアニメにつながった話は二人グルメが正解でした。

まず『鬼滅の刃』のさわりを簡潔に話してもらって、あと二たつほど紹介してもらったのですが、『本好きの下剋上』が気に入りました。詳しくはわからないのですが、ネットで小説を投稿するサイトがあってそこで見つけて読み、本になってそれを読み、漫画にもなり、テレビアニメになり、DVDとなったようです。

私は手短にDVDになっているのをレンタルして観ました。今年の初アニメです。可愛らしい絵なのには驚きました。話を聞いていた時はこんな絵とは想像していませんでした。見きれるかなとちょっと心配でしたが、友人が言っていたのはこのことだなと思ううちに引っ張られていきました。

本の正式名は長いのです。『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜』(香川美夜著)。<下剋上>が惹きつけられます。力のなかった者がのし上がるわけでしょうから。友人によりますと、主人公が本が大好きで生まれ変わった世界には本がなくて、それなら自分で作ればよいと考えて作るんだそうです。それがどうして下剋上なのかなとおもいましたら、貧しい平民の子として再生し、そこの世界には貴族がいて貴族の世界にまで入り込むということのようです。

「本は高級品で貴族しか読めないのよ。自分で本を作ろうと思いたち、一つづつ工夫していくの。前に居た世界の知識はそのままなので、エジプト式、メソポタミア式、中国式の本のつくりかたを試していくの。」

エジプトはパピルスという植物繊維の紙に文字をかきました。主人公・マインはパピルスを作りますが効率が悪く小さなパピルスしか作れず失敗します。平賀源内の石綿みたいです。メソポタミア式は粘土板に文字を書きます。これはいけそうですが苦労の甲斐なく何も知らない仲間の子供たちに踏みつけられてしまいます。中国式は木簡です。これも用意したところで何も知らないお母さんに薪として燃やされてしまうのです。

それでも協力してくれる少年・ルッツがいて、彼の商人になりたいという夢と重なり合ってマインの力になってくれるのです。

その前にまず文字を覚えることから始めなくてはならないのですから、本が好きでなければ進むことのできないことでした。前の世界は日本で麗乃(うらの)という名前でした。本が大好きで図書館司書に就職が決まったところで亡くなってしまい、気が付いたら架空の国の平民の幼女・マインとなっていたのです。

マインになっても麗乃が日本でつちかった知識は生きていて、その知識で新しい街のみんなが知らない物や食べ物を作り出し商品としてお金に換えるという方法を見つけ出していきます。マインの家族がこれまた良い人たちなのです。

ところが、一番の協力者であるルッツにお前は本当のマインなのかと疑われてしまいます。マインはなるべくわからないようにと気を付けていたのですが、本作りへ夢中になり麗乃の自分が出てしまい、ルッツがおかしいと思うわけです。麗乃もマインを新たに知っていくわけで大変なのです。

本当のことをルッツに話したらわかってもらえるであろうか。ルッツとの関係も壊れてしまうのではなかろうかとマインは心を痛めます。ここも一つの山場でもあり、お互いの葛藤が垣間見える場面でもあります。

そうした色々なことを乗り越えて、マインは貴族の神殿の見習い巫女となります。神殿には図書館があり本を読めるという権利をえるためでした。そして、神殿の孤児院で飢えていた孤児のために、本作りの労働により自分たちで食料を調達するという方法を見つけ出し、ついに本を完成させるのです。

マインは貴族となり、愛する家族と別れることになります。それはマインが家族を守るために必要なことだったのです。DVDはここまでです。マインは領主の養女となりまだまだ下剋上は続いていくようです。

調べましたらこの小説は第5部まであって完結しています。テレビアニメでは今年4月から第3期が始まるようです。

小説はもっと細かく表現されているらしいのですが、そこまでの気力はありません。「小説を読もう」で検索して「本好きの下剋上」と入力すれば探し当てられるとおもいます。無料で読めますので読みたい方はどうぞ。

人間関係、架空の世界での約束ごと、マインが遭遇する様々な問題がはめ込まれていてひとつひとつ乗り越えていくのがたのしいです。マインはすぐ熱を出してしまって倒れてしまいます。それは身食いという病気でした。この病気の人は特別の能力も持ち合わせているという展開でまたまた波乱が待ち受けているのです。繊細な心の動きもあり、デフォルメされた部分もありで楽しませてもらいました。

友人のいつもながら、短時間で要領よく興味を引くように説明してくれた手腕に導かれ絶対自分からは選ばないアニメに遭遇したわけです。よくしゃべり続けてくれました。アニメを見終わってから、マインの麗乃の時のわからないところは電話で聞き、アニメでは描かれていない麗乃のこともわかりつながりました。

アニメでは、神殿の神官長が出てきてマインが新官長とずっこけの掛け合いをするのが気分を変えてくれる挿入部分もあります。誰なのだろうと思っていましたらマインが神殿に行ったときはじめて登場しやっとお目にかかれたのです。小説や漫画で読んでいる人にはまた違った楽しみ方ができるようになっているのでしょう。

本好きの下剋上』とはどうやってお付き合いするかはこれからの課題です。