メモ帳 2

  • 北野恒富展 -「画壇の悪魔派」と呼ばれた日本画家』(千葉市美術館) ナニワで明治、大正、昭和と活躍された画家。期待の「画壇の悪魔派」がよくわからない。結果的には美人画家の印象。作品多数でナニワの美人画家がチバで頑張り、寒風の最終日鑑賞者も頑張る。日本酒の美人ポスターから熱燗連想。「鷺娘」の絵からナニワの『鷺娘』がきになる。

 

  • 映画『総会屋錦城 勝負師とその娘』 表舞台から消えていた大物総会屋・錦城の志村喬さんがやはりこの人ありの抜群さ。老いていながら娘のために相手の総会屋を倒し、総会屋はダニであると自ら豪語。妻の轟夕起子さんも適任。近頃、轟さんに注目。京マチ子さんにも。

 

  • 男はつらいよ純情詩集』の京マチ子さんと寅さんの出会いは最高。満男の先生・壇ふみさんを好きになり、さくらにお兄ちゃんは先生のお母さんと同じ年代よと注意されて、寅さん納得。そこへ先生のお母さんの京マチ子さんが登場。こんな落ちありと爆笑。世間離れしたふたり。山田監督の俳優さんの芸歴に合わせた人物像の設定の上手さ。

 

  • 溝口健二監督の遺作『赤線地帯』は、売春防止法が議論されている時代の娼婦たちの様子をえがいている。京マチ子さん、若尾文子さん、三益愛子さん、木暮実千代さんなどがそれぞれの事情からその生き様を演じる。この女優さんたちが渡辺邦男監督の『忠臣蔵』にこぞって出演。その振幅がお見事。『赤線地帯』の前に、同時代の厚生大臣一家を描いた川島雄三監督の『愛のお荷物』があり、厚生大臣夫人が轟夕起子さんで好演。過ぎし日の映画鑑賞はやめられない。

 

  • 国立科学博物館で『南方熊楠』展始まる。(2018年3月4日まで)
  • NHKEテレビ 12月19日22時~「知恵泉」究極日本人・南方熊楠

 

  • 映画『女の勲章』原作・山崎豊子さんで吉村公三郎監督。船場のとうはんの京マチ子さんが、洋裁教室から商才に長けた八代銀四郎の力を借り洋裁学校にし、チェーン学校へとファッション界を登りつめる。銀四郎の田宮二郎さんがギンギンの大阪弁のテンポの速さで女も経営も手にしていくが、とうはんは自殺。若尾文子さん、叶順子さん、中村玉緒さんと個性がくっきり。ファッションも楽しめる。原作のほうが、経営手腕の機微は面白いであろう。驚き。テレビドラマで銀四郎を仁左衛門さんが、孝夫時代に。現代物の色悪。

 

  • 世界最大級のファッションイベント「メットガラ」密着ドキュメンタリー『メットガラ ドレスをまとった美術館』。ファッション満載であるが、NYメトロポリタン美術館のスミに追いやられている服飾部門の地位獲得の目的がある。ファッションはアートになれるか。テーマは「鏡に中の中国」。今まで中国のイメージで創作されたファッションの展示。和服の場合。日本では工芸としての位置づけがすでにある。織り、染め、刺繍などから、帯留め、煙草入れまで工芸品のアートとして展示。洋服のファッションは動いてこその意見もある。そんなこんなで裏も表も刺激的。

 

  • 映画『楊貴妃』溝口健二監督である。実家での下働きのような生活。宮廷での優雅な生活。どちらも自分なりの生き方で行き来する京マチ子さん。枠組みは狭く、権力争いの中でそれとは関係なく自分の生き方を探すがやはり負けてしまう楊貴妃。溝口監督の世界。玉三郎さんの『楊貴妃』はその後のことで難解。言葉と踊りが自分の中で曖昧。玉三郎さんの世界に入りきれなかった。

 

  • 映画『大阪物語』原作は井原西鶴作品をもとに溝口健二監督が。脚本・依田義賢。溝口監督が急死され、吉村公三郎監督が引き受ける。夜逃げの百姓一家が大阪で大店に。主人の二代目鴈治郎さんのお金に対する執着心が引っ張る。最後はお金の妄執にとりつかれる鴈治郎さん。この方が出演されと映画に一味深みが加わる。