役立つかなテンプルちゃんとアニー

学校が休校となり、姪のところの姉妹にDVDを送ることにした。映画『テンプルちゃんの小公女』『アニー』である。姪から助かるとメールがきたが楽しんでもらえるかな。

BS世界のドキュメンタリー『カラーでよみがえるアメリカ ハリウッド黄金期』を見た時、テンプルちゃんことシャーリー・テンプルが子役を越えてスターとしてあつかわれていた。1930年代の大恐慌時代に健康的な愛らしさで国民的人気を得ていた。当時のルーズベルト大統領が「この国にシャーリー・テンプルがいるかぎり私たちは大丈夫だ」とまで言ったのである。そのことがあってこのDVDを目にしたとき購入しておいた。

もう一作品ないかなと古本屋をつらつら探していたら『アニー』があった。アニーは大恐慌時代の話しであった。結構ミュージカル『アニー』の宣伝などは目にしているが子供用と思っていてスルーしていたので内容は知らなかったのである。この二作品を観て制作時代と物語の時代とがかさなる。二作品とも自分の信じることを一途に突き進む姿にうるっときてしまった。

さてこちらがこの映画から知ったことである。『テンプルちゃんの小公女』(1939年)の原作はバーネット夫人の「小公女」である。映画のほうは、お母さんを亡くしているサラが、お父さんがアフリカの戦場にいくためロンドンの寄宿学校に預けられる。ところがお父さんが亡くなったとの知らせが入る。お父さんからの寄付金が無くなり、特別扱いされていたサラは一転使用人として働かされる。お父さんが死んだと信じないサラは、軍の病院を毎日訪ねる。そして、お父さんとめぐりあうことができるのである。

サラは偏見なく様々な人と交流していく。使用人として働いているベッキーやインド人、女教師とその結婚相手の馬術の先生など。その自然さと笑顔がテンプルちゃんの強みであり、タップの上手さが楽しさと明るさを加えてくれる。

1933年テンプルちゃんは5歳の時、フォックス・フィルム社と7年契約を結ぶ。大恐慌下、テンプルちゃんによってフックスは倒産をまぬがれる。1935年、20世紀映画と合併し、20世紀フォクス映画が誕生。テンプルちゃんの主演映画は次々ヒットして、彼女がいなければ『スター・ウォ―ズ』『タイタニック』等の20世紀フォクス映画は存在しないとDVDの特典映像で言及している。

ハリウッドにとっても救いの主である。ハリウッドの映画は、セックスと暴力を賛美しているとして宗教団体などから抗議されていた。ハリウッドは「下品、軽薄、低俗なものを排除します。」と宣言したのである。そこに登場してくれたのがテンプルちゃんなのである。というよりもハリウッドが利用したのかもしれないが、テンプルちゃんは大人たちの思惑をはねのけて成長する。

『オズの魔法使』(1939年)は、テンプルちゃんが第一候補であったが、ジュディ・ガーランドに決まる。なるほどテンプルちゃんでも大当たりしたであろうが、ジュディ・ガーランドも好かった。ダイアナ・ロスがドロシー役を33歳で演じたのが映画『ウィズ』(1978年)であるが、ダイアナも頑張っていた。カカシのマイケル・ジャクソンがクリクリっとした眼の愛らしい表情で、カカシの骨のない動きが素晴らしい。やはり天才である。

映画『アニー』(1982年)は、大恐慌時代のニューヨークが舞台で、貧しい親たちは施設に子供を預けるのである。子供たちは両親が迎えに来る希望を胸に頑張っている。その中の一人がアニーである。ある時、大富豪のウォ―バックスが施設から一週間子供を招待することにする。アニーは招待の子に選ばれる。

お金のことしか頭になかったウォ―バックスはアニーが気に入り自分の子供にしたいと望む。アニーは赤ん坊のころ施設の前に置き去りにされ、両親の顔も知らないが実の親がいるからと断る。ウォ―バックスはあらゆる手を尽くし両親を捜してくれるのであるが...

アニー役のアイリーン・クインもお茶目で愛らしい。ブロードウェイ・ミュージカル舞台からの映画化なので、歌やダンスなどもたっぷりである。アニーのまわりの子供たちの動きも見どころである。アニーはウォ―バックスの金力によって貸し切りの映画館でグレタ・ガルボの映画『椿姫』(1937年)を観たり(歌の中にシャーリー・テンプルの名前も出てくる)、ルーズベルト大統領と会ったりと1930年代が再現されている。

アニーが助けた犬・サンディーも共に行動し、インド人のマジックもあったりと多種多様の見せ方をしていて、そのあたりは『テンプルちゃんの小公女』との時代の流れを感じる。

休校がなければこちらも今の時期にこの二作品は観なかったであろう。他にも姉妹が観れる映画はないかなと置き去りにしていたジュディ・ガーランド作品や『若草物語』を観直したりした。

『若草物語』再確認。長女は『サイコ』のジャネット・リーには驚き。次女は『グレン・ミラー物語』のジューン・アリソンで声が何とも言えない魅力。三女はエリザベス・テイラーでそれほど光はかんじられないが。四女は名子役マーガレット・オブライアンで『ジェーン・エア』にも出ていたそうだ。ジュディ・ガーランドの『若草の頃』でマーガレットがもっと小さくて四女役で出ていたのを今回発見した。一番楽しんでいるのはだれであろうか。

追記:暖かいところは青空卒業式もいいのでは。さらに上着を着て暖かくして。来賓ご挨拶や議員の祝電などのない卒業生中心の卒業式。パーティやゴルフ、マスクの転売まで誰のために仕事をしているのでしょうか、この人達は。自分だけのため。