映画『ダ・ヴィンチ・コード』から映画『メリー・ポピンズ』(2)

やはり気になるのが、ルーヴル美術館での撮影です。パンフレットによると、閉館後の撮影許可がおり皆さん感動されたようです。ロン・ハワード監督は、一人ルーヴルの中に立つと人類の作り出した宝物、至高の美術品と一緒に洞窟の中にいる気分だったと表現しています。もちろん殺人現場などはセットで、このセットの美術監督が、アラン・キャメロンさんで、名画は背景画家のジェームズ・ジェミルさんが150もの絵を描いています。

絵画の複写は、オリジナルカメラで撮影したものを拡大し、壁に投射し、その上から描いていってすべての絵をオリジナルとまったく同じように描き、つや出しやひび割れをもほどこしています。光が反射したとき印刷か描いた物かがわかってしまうのだそうです。

緻密に計測し、幅木や窓周りの大理石に合わせて大理石のサンプルもつくり、グランドギャラリーの床は大工係りがベニヤ板で床板を作って、それを写真に撮ってプラスチックのシートに印刷して床に敷いたのだそうです。今度見直すことがあったらその辺もしっかり見ることにします。

映画の大半はヨーロッパの歴史的な名所でのロケで、そこで小さなドアを通たり、はいつくばったりしてラングランをより深く演じることが出来たとトム・ハンクスさんは語ります。

ロン・ハワード監督とトム・ハンクスさんは、この役について話し合った時、『アポロ13』の時と同じようなポジティブな感覚を味わったそうですが、私とトム・ハンクスさんの映画との出会いは『アポロ13』なんです。ここから映画鑑賞の復活だったのです。それまで空白だった洋画を、ここから埋めていきました。

先ず『アポロ13』に出て来た、トム・ハンクス、ケヴィン・ベーコン、ゲイリー・シニーズ、エド・ハリスなどの出ている映画を映画好きの友人から次から次へと教えてもらいレンタルして観ました。観ては、そこにでてくる気に入った他の俳優さんの作品を教えて貰い、好きな映画に偏りそうなので、都民劇場の映画サークル会員になったりもしました。今は映画サークルはなくなったようです。

アメリカン・グラフィティ』にロン・ハワード監督が俳優として出ているのを教えてくれたのも友人でした。アメリカの青春映画の代表作ですね。

アメリカ映画は、俳優は人気がでてくると、先輩スターとの共演があったり、スター同志の共演があり、そのガチンコが面白いです。

マグダラのマリアの子孫であるソフィー役のオドレイ・ヌヴ―は『アメリ』でした。おかしな映画で、アメリのお父さんが医者で、お父さんが診察してくれるとドキドキして、お父さんは心臓病だと診断して、学校に通わせず自宅でお母さんの家庭教師で過ごし、感覚が人と少し違うんですよ。それでどうなっちゃうんだっけと思って見直しました。

ちょっと人と違うキャラクターのアメリですが、何となくアメリのペースで他人同志の関係を上手くさせたり失敗したりして、アメリ流のやりかたで自分の恋人を見つけてしまうのです。コメディぽくもあり、ミステリーの謎がとけるようなラストで、これがフランス流なのかなあと不可思議でした。。あの大きな目が『アメリ』ではもっと発揮されていました。

修道僧シラスは、アリンガローサ司教に敬虔なしもべで、言いつけ通りに従う狂犬的存在で不気味さも醸し出し、ポール・ベタニーさんは初めてで、ロン・ハワード監督の『ビューティフル・マインド』に出ているというので見ました。この映画は、ロン・ハワード監督がアカデミー賞の監督賞を受賞しています。エド・ハリスさんも出演していました。

最初は全然見ている方も分からないのですが、途中で主人公が<統合失調症>のため幻覚を見ているということが分かるのです。主人公がラッセル・クロウさんで、でルームメイトがポール・ベタニーさんです。ところが、このルームメイトは幻覚で実際には存在しない人物なのです。主人公も自分が病気であると知りますが、その後も様々の幻覚はあらわれます。ルームメイトには姪がいまして、姪が一緒に出現しますが、年数が経ってもその姪が成長しないのに気がつき、ルームメイトが幻覚の中の人であることに気がつきます。

雑誌などあらゆるものから、暗号として読み取り組み立ててしまいます。その能力がかわれて秘密機関に暗号解読の任務を任せられますがそれも幻覚です。そうした病気がありながら、後にノーベル経済学賞を受賞したジョン・ナッシュさんという方の実話に基づいた映画です。

自分の病気を自覚しつつ、それと折り合いをつけつつ研究に勤しむのですから、つらいだろうなと思いました。自分自身の本質を確かめ確認しつつ進まなければならないのですから。

<統合失調症>という言葉は耳にしていましたが、症状は様々でしょうが、こういう状態との闘いの中にいる人もおられるのだということを知りました。見えすぎてしまうということも辛い事です。

ロンドンのスタジオに作られたリー・ティービングの暮らす書斎などは、ティーヴィングの性格を考えながら小道具のデザインをしてキャメロンさんは楽しかったと語っています。

ティービング役のイアン・マッケランさんは、『ロード・オブ・ザ・リング』のガンダルフ役ということですが、好きな分野の映画ではないので見ていなかったため、今回、三部の<王の帰還>を見ることにしました。