映画『ステキな金縛り』から『スミス都へ行く』『素晴らしき哉、人生!』(2)

映画『ステキな金縛り』がないがしろにされそうであるが、こちらの勝手な勢いで『素晴らしき哉、人生!』に進むことにする。主人公のジョージ(ジェームズ・スチュアート)の父は、貯蓄貸付組合を運営している。この会社は貧しいものが少しずつお金を貯蓄してそこから融資をうけ自分の家を持つというしくみで運営は苦しく、ジョージは自分で働いてやっと大学に進むことが可能になった。

ジョージを好きなメアリー(ドナ・リード)とダンスパーティーで得意でないダンスに興じる。背が高く足の長いジェームズ・スチュアートのダンスはちょっとした見どころである。「ステキな金縛り」のエミのボス、速水弁護士(阿部寛)が法廷でタップを披露するがこのあたりがつながっているのかも。

ジョージの夢は父の急死で延期となる。彼は、貯蓄貸付組合の後を引き継ぐのである。ためた学資は弟の大学の学資にあてることにする。貯蓄貸付組合を手に入れたい人物がいた。多くの貸し家を所有して営利をむさぼっているヘンリーである。家を持たれると自分の利益は減るのである。

ジョージはメアリーと結婚し新婚旅行へという時、金融不安。新婚旅行の費用を預金者にまわし危機を乗り越える。二人の間には4人の子供が誕生していて、楽しいクリスマスイブ。叔父が会社の売り上げを銀行に預けに行きお金を紛失してしまう。間違ってヘンリーに渡してしまいそのことに気が付いていない。もちろんヘンリーは会社を乗っ取る絶好の機会と知らんふり。

絶望のジョージ。そこへ、翼のない天使・クレランスがあらわれる。ジョージを助ければ翼を貰えるのである。クレランスはどうやって自殺しか頭にないジョージを再起へと導くのであろうか。

さて『ステキな金縛り』ではどうやって被告の無実を証明するのか。ところで、幽霊を証人として連れて来るしかないですねと言ったのは小佐野検事(中井貴一)なのである。もちろん冗談で。ところがエミの行動は弁護士として崖っぷちである。やるしかない。六兵衛も自分の立場と被告の立場の名誉回復は一致するとタッグ成立。

幽霊であるから難問続出である。ひとつ使えるのは六兵衛さん息を吹きかけることができるのである。ボス愛用のフエラムネから音を出せるので、ハーモニカ登場。ハイはひと吹き、イイエはふた吹きでOK。しかし、小佐野検事は納得しない。この検事、エミの亡き父・宝生弁護士の事は認めているがエミには懐疑的。あたりまえである。

ところが、あちらの世界の公安係・段田が六兵衛さんにあちらの国への強制送還書を提出し連れ去ろうとしたとき助けてくれる。そしてエミにいうのである。「我々は敵ではない。真実を求めると言う意味では味方同士だ。我らの敵は真実を隠そうとする者たちです。」パチパチパチ!

佐野検事は勝利にもこだわる人で、六兵衛さんの証人としての資格を歴史的見地から論破してしまうのである。段田公安係は六兵衛を連れて行こうとするがエミは『スミス都へ行く』のDVDを観る間待ってもらう。

話しは急展開。あのエミの力になってくれたボスが倒れる。臨終の間際ボスにエミはあちらに行ったら段田さんにメモを渡してほしいと頼む。メモには『素晴らしき哉、人生!』を見せると。もちろん姿を現す段田公安係。エミが頼んだのは、被告の死んだ奥さんを連れてきてほしいと。

法廷に現れた鈴子(竹内結子)。それを見て驚く姉の風子(竹内結子)。え!幽霊見えるの。見える人と見えない人がいるのである。その事を究明したエミはなかなかの腕前である。殺人事件はあらぬ展開をみせエミは勝利する。

六兵衛さん、エミの父親を連れてきてくれる。でもでもエミにはもう六兵衛さんもあれほど会いたかった父も見えないのである。見える条件の一つを失ってしまったのである。しかしハーモニカで父は「アルプス一万尺」を吹いてくれる。父は「ヤンキードゥードゥルなんだけど」とつぶやく。え?この歌は、アメリカ合衆国では民謡で独立戦争の時の愛国歌なんだそうである。『スミス都へ行く』にも出てきて「アルプス一万尺だ」と思っていた。そうであったかと知らされる。『ステキな金縛り』を観なかったら気にもとめなかったことである。

スミス都へ行く』と『素晴らし哉、人生!』も是非ご覧あれ。天使の腕前も。グロリア・グレアムはヴァイオレットというメアリーとは違うタイプの女性役で登場しました。