本所深川の灯り (3)

深川の街歩きの友として、宮部みゆきさんの「平成お徒歩日記」も優れものと言う事が判明した。この本は読むだけでも楽しいが、ご本人も携帯して歩いてくれる事を望まれているのでそのほうがお互いの為かも。

こちらはこの本の事はつい先ごろ知ったもので、深川は宮部さん抜きである。

経路は地下鉄東西線門前仲町駅から富岡八幡宮→深川不動堂→清澄通り→(採茶庵跡・滝沢馬琴生誕の地・紀伊国屋文左衛門墓)→深川江戸資料館→霊巌寺→清澄庭園→万年橋→(史跡展望庭園・芭蕉稲荷・赤穂浪士引き上げの道)→芭蕉記念館→都営大江戸線森下駅となる。

大江戸線・半蔵門線清澄白河駅から深川江戸資料館にまず行き、そこで街歩きの資料を調達するのも一つの方法である。

富岡八幡宮は江戸三大祭りのひとつ「深川八幡祭り」で有名である。昨年震災で延期した本祭りが今年開催されたようである。また勧進相撲でも知られ境内には「横綱力士碑」など力士の碑が多い。深川と言えば木場の角乗りで、「木場の角乗碑」があり<両国の七つ谷の倉の間部河岸という所で三代将軍家光に筏の小流、角乗り、木遣りをご覧にいれ以後年中行事となる>木場の木遣りの由来が書かれている。角乗り、木遣りは深川資料館に映像がある。

深川不動堂では成田山新勝寺東京出張所であるが、ここで護摩焚きを自由に拝観させてもらえた。声明というのでしょうか、その声と太鼓、ほら貝の音の混合の音楽性に驚いてしまった。洗練された音楽であった。芸能が神仏の祈りから流れてきているのが解かる。思いがけない出会いであった。

採茶庵は芭蕉の弟子の杉山杉風(さんぷう)の庵室で松尾芭蕉はここから『奥の細道』へ旅立った。その跡で芭蕉の像がある。

深川江戸資料館は江戸時代の深川の庶民生活や路地などが再現されていて時代小説、落語、歌舞伎の世話物を楽しむ切り札となるような構成である。映像もありゆっくり見学したい場所である。

霊巌寺は江戸六地蔵の一つで、寛政の改革を行った松平定信の墓がある。

清澄庭園は江戸時代下総関宿藩久世大和守下屋敷で明治に三菱財閥岩崎弥太郎が開園した。もともとは豪商、紀伊国屋文左衛門の屋敷跡ではと伝えられてもいる。

万年橋を渡り川岸へ降りるとスカイブルーの清洲橋が見える。とても美しい橋で後ろの高層ビル群の前に<われここにあり>と横たえている。ドイツ・ケルン市にあったライン川にかかる大橋をモデルに造られたそうだ。

ぷらぷらと川面を眺めつつ芭蕉ゆかりの場所に寄りつつ芭蕉記念館へ。関係資料は展示が変わるようである。

その他にも地域を移動すると沢山の興味深い関係地があって、地域限定で歩く必要がありそうだ。 森下文化センターには田河水のらくろ館・伊東深水、関根正二紹介展示コーナー。越中島の古石場文化センターには小津安二郎紹介展示コーナーがある。