ひとこと・寿ぎの中でのお別れ

坂田藤十郎さんの舞台を観た最後が、昨年の四月歌舞伎座での米寿を祝う『寿栄藤末廣(さかえことほぐふじのすえひろ)鶴亀』であった。その時の印象が強く、昨年の11月にテレビ『にっぽんの芸能』でも放映されたので再度鑑賞し、藤十郎さんの舞台に柔らかい光を放つ佇まいは、「寿」の言葉が似合う方であるとおもえた。

武智歌舞伎で歌舞伎を知らない者にも何か凄い事をされたらしいとおもわせ、お幾つのときだったのかお初の足の色香の芸を知り、心中の道行きに圧倒させられ、自己中のぼんぼんの柔らかさに笑わせられ、政岡、戸無瀬に驚かされた。

寿栄藤末廣 鶴亀』では、後に続く役者さん達に囲まれ祝われながら次世代の姿を見守りつつ、しっかり所作の息の止めと吐きどころを大切に押さえられている。(合掌)

少し時間を置いてから、あらためてDVDの『封印切』と『河庄』鑑賞いたします。