映画『バレエ・カンパニー』ドキュメンタリー映画『ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男』

映画『リトル・ダンサー』に触発され手にしたのが『バレエ・カンパニー』です。この作品の映画監督がロバート・アルトマンで、そういえば見たいと思っているうちに終わってしまったアルトマン監督のドキュメンタリーがあったなとおもいだしました。それが『ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男』です。

映画のチラシを探していましたら『リトル・ダンサー』のチラシが出てきて、< 世界のトップダンサー、アダム・クーパーが特別出演しているのも見逃せない!! >とあり、やはりアダム・クーパーであったかと、たしか?と思っていた疑問符も消すことができました。いまとなっては、あれはアダム・クーパー以外考えられないショットです。

『リトル・ダンサー』のスティーヴン・ダルドリー監督を調べたら、『めぐりあう時間たち』『愛を読む人』『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』の監督でもありましたが、見ていながら記憶のなかではつながっていませんでした。

ロバート・アルトマン監督のほうにいきます。『リトル・ダンサー』からバレエの映像が見たいと思って手にした『バレエ・カンパニー』ですが、これがバレエのドキュメンタリー映画を見ているようなダンスのシーンがたっぷりで、主人公がいるのですが、その物語の部分はバレエシーンの間にほどよく配置されていて、そのほど良さがアルトマン監督の上手さであるとおもいます。

主人公の恋愛、所属バレー団の運営、練習場面、バレリーナの怪我などの話しが流れているのですが、その流れがバレエシーンの流れを邪魔せず、その華麗なおどりはバレエ映像を見たいと思っていた者を満足させてくれました。

バレエ・カンパニー「ジョフリー・バレエ・オブ・シカゴ」のトップ・ダンサーたちとアルトマン監督とのコラボレーションが見事で、こちらもチラシがあり、主役のライは女優・ネーヴ・キャンベルさんで代役なしとのことで、見ていてダンスシーンが違和感がなかったので納得できました。キャンベルさんはナショナル・バレエ・オブ・カナダ出身で、自らの経験から企画・制作・主演をされていたのです。

アルトマン監督流のエスプリもあって、それでいてリアリティたっぷりの稽古風景などはドキュメント感にみなぎっています。

20世紀最高の振り付け家・モーリス・ベジャールのドキュメンタリー映画『ベジャール・バレエ・リュミエール』も見たのですが、こちらは、振り付け家ベジャールの発想がどう踊り手にのり移っていくかという視点なので、作り上げていく過程が興味深いところですが、ダンスを楽しむというよりも、その試行錯誤と苦慮をたどるというかたちで、アルトマン監督のその重さを軽くしていかにその技術も伝えるかという映画としてみせたのは、映画とドキュメンタリー映画の狭間に開化させた映像の面白さでした。

ベジャールさん関係では死後、その意志を継ぐモーリス・ベジャール・バレエ団のドキュメンタリー映画『ベジャール、そしてバレエはつづく』もありました。

アルトマン監督をえがいたドキュメンタリー映画『ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男』はどうなのか。ジェットコースターに乗っているような一生ともいえます。映画のことなど全然知らないのに映画界に潜り込み、独力で映画技術を勉強し、映してはいけないと言われる映像を映してクビとなり、『M★A★S★H』が大ヒットとなりそれから快進撃ですが、また谷底へ。『ザ・プレイヤー』『ショート・カット』『プレタポルテ』で再び走りだします。このあたりは評判になっていましたので見ましたがよくわかりませんでした。見直しますが。

『プレタポルテ』などは、スターの総出演で、スター登場、字幕、ストーリー、ファッション界の内幕と追っているうちにラストへ、ラストの落ちには笑えました。

今回見ていない『Dr・Tと女たち~スペシャル・エディション~』と『クッキー フォーチュン』を見て、ゆったりと善良な人々の生活がながれ、次第に状況がかわり竜巻にまきこまれたり、自分が仕組んだ芝居にはまって殺人犯になったりと、自然とことが運んでいくながれにどこで歯止めをすればよかったのかがわからないのですが、最後は少し違う位置の倖せの場所にいるという展開がくりひろげられます。

アルトマン監督最後の映画『今宵、フィッツジェラルド劇場で』は遺作ということで映画館でみましたが、どうしても外国のことになると時代背景がぼんやりで身にそはないのがもどかしいのですが、ラストになにがくるのかというアルトマン監督の楽しみは、最後の映画ということもあってか<死>が暗示されていました。

アルトマン監督のドキュメンタリー映画をみて、アルトマン監督の映画をみることがアルトマン監督のドキュメンタリーをみることなのだと想えました。さすが監督落ちをつけてくれました。

これを機に見直したり新たに見たアルトマン監督の映画

『マッシュ』『ギャンブラー』『ロング・グッドバイ』『ナッシュビル』『クインテット』『ウェディング』『ゴッホ』『ザ・プレイヤー』『ショート・カッツ』『プレタポルテ』『相続人』『クッキー・フォーチュン』『Dr・Tと女たち』『ゴースフォード・パーク』『バレエ・カンパニー』『今宵、フィッツジェラルド劇場で』