長野~松本~穂高~福島~山形(番外篇)

映画『男はつらいよ』の寅さんが山形の慈恩寺に行っている。16作・葛飾立志篇である。葛飾柴又の「とらや」に修学旅行生の桜田淳子さんが寅さんを訪ねて来る。寒河江(さがえ)町から来て、寅さんが自分のお父さんではないかと確めに来たのである。それは思い過ごしであったが、桜田さんの母親が昨年亡くなったことを知り、寅さんはお墓参りに行くのである。そのお寺がどうやら慈恩寺らしい。そこの住職が大滝秀治さんである。

御前様・笠智衆さんの姪御の樫山文枝さんが大学の考古学の助手をしていて、「とらや」に下宿することになる。やっと、茶の間からの階段を上がる部屋が見れた。寅さんはいつも台所の土間からの階段を上がった部屋であるが、そこを樫山さんが使うことになり、寅さんは二階のいつもとは違う部屋に寝泊りするのである。茶の間からの階段の部屋が気になっていたのでこれで一つ解決。

巡査が米倉斉加年さんと劇団民藝の方が3人出られている。樫山さんの師の大学教授が小林桂樹さんである。ラストは小林桂樹さんは樫山さんにプロポーズして断られ、寅さんは小林さんがだれにふられたかは知らないで二人で一緒に旅をしている。

「七つ長野の善光寺 八つ谷中の奥寺で 竹の林に萱の屋根 手鍋下げてもわしゃいとやせぬ 信州信濃の新そばよりも あたしゃあなたのそばがよい」

市川市文学ミュージアムで『山田洋次☓井上ひさし展』を開催している。( 2015年11月21日 ~ 2016年2月14日まで)

お二人の縁と、笑いと平和に対する想いなどが中心である。その他12月12日に公開される山田監督の映画『母と暮らせば』の小道具や衣装など、さらに『男はつらいよ』の「とらや」の茶の間のセットもある。井上ひさしさんのカード式メモは読みやすく几帳面に記入されていて驚いた。誰が見ても資料になる。そして、『男はつらいよ・葛飾立志篇』のタイトル前の寅さんが馬の引く荷台に乘っている大きな写真があり、出た!

文翔館では映画『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』の撮影があったが、この映画の撮影現場として、栃木県宇都宮にある<大谷資料館>でも知らされた。こちらでは、背景が白なので剣を交える場面を撮りそれを合成して映像化したのであろうと思うが。

映画『セーラー服と機関銃』で、薬師丸ひろこさんが捕らえられ十字架に張りつけになる場面がある。その白い巨大な柱郡はセットではないし、どこで撮ったのであろうかと気になっていたが、<大谷資料館>に行って納得であった。ここかと思ったら、ここで撮影されたとの掲示があった。

そんなこんなで『るろうに剣心』『るろうに剣心 京都大火編』『るろうに剣心 伝説の最期編』をレンタルした。『るろうに剣心』は剣心が刀を逆刃刀にして人を斬ることをやめるのであるが、その理由が弱くこちらには伝わらなかった。闘いのスピード感に比して、かおるとのやりとりなどの間の長さのギャップに閉口してしまった。続きを見るかどうか躊躇したがとにかく見ようと『るろうに剣心 京都大火編』を見ると、様々なキャラの人物が出て来て、会話部分の間もよくなり、剣心の佐藤健さんのアニメ的台詞も身につき良くなって面白くなった。ただ『るろうに剣心 伝説の最期編』では、剣心の剣の師が福山雅治さんで福山さん長髪似合わないし、ちょっと違うなと思ってしまった。

剣心の子供時代の事と新婚の侍を斬ってしまう重大な剣心の心の芯の決め所が弱かった。それに対し、藤原竜也さんの志々雄は生き残ってしまったら怨みしかないであろうということは明白。田中泯さんが引き締め、伊勢谷友介さんとの関係を盛り上げ御庭番のその後に色添え、幅が広がった。漫画、アニメの見ない者にとって、青木崇高さんの左之助の単純さが気分を変えてくれる。

漫画には漫画の、アニメにはアニメの、実写には実写の、芝居には芝居の心意気があるのであろう。というよりそれが必要である。