映画『アメイジング・スパイダーマン』『大いなる陰謀』『ソーシャル・ネットワーク』

映画『ハクソー・リッジ』の主人公・デスモンド・T・ドスを演じたアンドリュー・ガーフィールドさんは、気弱そうでいながら意志を貫く強さをじわじわと納得させていくところが好演でした。

アメイジング・スパイダーマン』(2012年)では、主人公ピーター・パーカー役で、その恋人・グウェン・ステイジーが『ラ・ラ・ランド』のエマ・ストーンさんです。『スパイダーマン』より面白かったです。同じスパイダーマンを主人公にして、作り方によってこんなにも変わってしまうのかと興味深いです

ピータ―・パーカーは、子供の頃叔父さん夫婦に預けられ両親は行方不明となってしまいます。高校生となり父の残した古い鞄から父が研究していたことを知りたくなり父の勤めていたオズコープ社へ様子を見に行き、そこで研究していたクモに刺されて、身体の組織構造が変わりスパイダーマンとなるのです。

手が触れた物に接着力が出現し、スケボーに乗りながらその力を高め、自分の身体から発するクモの糸の粘着力と強靭さから空を飛び悪と闘っていくわけですが、一部の人には素顔をみせ、ピーターがスパイダーマンであることをしらせます。

スパイダーマンになる経過も面白く、クモの糸一本でビルの間を飛び回るスパイダーマンの身体が美しいのです。一瞬止まったり次の動作にいくときなどの身体の反り具合などの表現が見事です。父の同僚であったコナーズ博士との闘いとなりますが、そこに恋人グウェンとの関係がほどよく加味され引っ張っていきます。

グウェンの父親が警部で、パーカーがスパイダーマン擁護の意見をいうと「私がゴジラの街、東京の知事に見えるかね。」「君は戻って東京の人々の心配をしてろ。」との台詞が飛び出し楽しかったです。その父親が娘が巻き込まれることを心配して娘に近ずくなと言いのこして亡くなってしまいます。

その言葉がパーカーの心に残りグウェンから離れるのですが、教室の前の席のグウェンにパーカーが後ろの席から「守れない時もある」というと、グウェンの表情が静かに笑顔に変わる印象的な終わり方でした。

アメイジング・スパイダーマン2』は残念ながら、この二人の恋物語の部分の割合が強くなりそれでいながらグウェンは死んでしまい、前作の謎が解かれていきますが新鮮さに欠け中途半端な感じがありました。『アメイジング・スパイダーマン3』はどうするのかと思いましたら『アメイジング・スパイダーマン2』の人気が伸びず、中止になってしまったそうです。2を3でどう盛り返すのかなと思いましたので、そうなってしまったのかの感があります。

アンドリュー・ガーフィールドさんは、遠藤周作さん原作でマーティン・スコセッシ監督の『沈黙ーサイレンス』にも出演していますが、この映画は原作を読んでいるので重すぎて見れませんでした。篠田正浩監督も映画にしていますがこれも見ていません。外国の方が日本の小説から深く考えてくれることは素晴らしいことです。遠藤周作さんには狐狸庵先生としてユーモアな随筆作品があり、シリアスな作品とユーモア作品とを交互に読みました。

遠藤周作さんの夜中の電話の犠牲になった作家のかたもおられたようで、いたずらなところもあった方でした。

アンドリュー・ガーフィールドさんの映画デビュー作品が『大いなる陰謀』(2007年・ロバート・レッドフォード監督)で、共和党上院議員のトム・クルーズさんとジャーナリストのメリル・ストリープさんとの対峙する会話に対し、政治学の教授であるロバート・レッドフォードと生徒であるアンドリュー・ガーフィールドさんの対峙する会話の重要部分に4人の一人としてアンドリュー・ガーフィールドさんが参加しているのですから凄いデビューとなったわけです。

この2対2は直接関係するわけではありません。アフガニスタンの軍事上の新作戦を押し進める共和党上院議員が、そのことを好意的に発表して欲しいとジャーナリストに依頼し、情報操作を目論むわけです。教授は優秀なのに講義に出て来ない生徒に、止めるのも効かず志願兵となった生徒二人のことを話し、君はそれでいいのかと考えるきっかけを作ろうとします。

この志願兵は、アフガニスタンの高地作戦に参加していて簡単に制圧できるとした作戦の真っただ中で二人取り残されるかたちとなり戦死してしまいます。映画としては、この三組の状況と語る言葉から見る人がどう受け止めますかという投げかけをしている映画で、それぞれにゆだねられています。

ソーシャル・ネットワーク』(2010年)では、<Facebook>の創設者であるマック・ザッカ―バーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)の共同経営者であるエドゥアルド・サベリン役がアンドリューさんで、ハーバード大学在学中に<Facebook>は作り出され、そこからエドゥアルド・サベリンが法的にマック・ザッカ―バーグを訴え、共同経営者として返り咲くまでの話しです。

<Facebook>に興味のあるかたはその裏話として見るのも楽しいかもしれません。莫大なお金を生み出す新しい事業の誕生ですから色々ないほうが不思議でしょう。

映画『ハクソー・リッジ』のアンドリュー・ガーフィールドさんによって、こんなところにまで運ばれてきました。

容姿から繊細な感じが出せて、それが反対に強さとなるという変化が彼の強みでもあります。その他やる気のなさ、いい加減さも出せるので、作品によってまだまだ変化するでしょう。