ひとこと・玉三郎舞踊集『お夏狂乱』

坂東玉三郎舞踊集5『お夏狂乱』のDVDを十数年ぶりで観る。同じDVDを持っている友人にも観てもらった。彼女もすっかり忘れていたようである。

開口一番、お夏が可哀想で泣けたと。そこまで感情移入しなかったが。段四郎さんの酔っ払ったあの足みた。みた!みた!踊りになっている乱れて乱れていないあの動き。喜劇性が邪魔をしない表現。あの酔っ払った馬子さえも狂ったお夏にこれはどうしょうもないと去ってしまうのがお夏の可哀想さを増してしまったのよ。そうみましたか。

こちらは子供たちが出て来て『本朝白雪姫譚話』のあの子役さんたちの確実な間のとりかたと発音の美しさを思い出していた。お夏の方の子供たちの悪戯は残酷でもある。

それからは映像作品『松の功』『此君』『』『ゆく春』『白百合』の話しへと尽きない。以前は退屈でよくわからなかったけれど、懐の深かさが感じられた。そうよね。着物の柄にまで心が動いてしまうし。時間が経過すると見方も変わる。まずはあるものをもっと生かさなければ。