村山源氏

下北沢の本多劇場「バカのカベ」の観劇のあと古本屋で村山リウさんの「源氏物語」と遭遇。一度だけ村山源氏の講義を受けた事がある。主婦の友社であったような気がするのだが。
物語よりも衣装・色・髪かたち・着こなし・道具の事などを詳しく説明された。

「平家物語」を読んでいて、例えば維盛が頼朝追討の出陣の容姿は<赤地の錦(にしき)の直垂(ひたたれ)に萌黄縅(もえぎおどし)の鎧を着て、連銭葦毛の馬に黄覆輪(きぷくりん)の鞍(くら)をおいて乗っている。>とある。こういう出で立ちがぱっと絵になって目に浮かぶともっと楽しいと思う。

時間的余裕がなく村山源氏の講座は一回しか聴けなっかたが、こういう入り方も今となれば面白い。「源氏物語 ときがたり」は全二冊で読みやすそうである。前回の古本屋は映画関係の本であったが、今回は古典関係の本に目がいき、古典は人気がないのかかなり安価で買うほうはニコニコで加減しつつも相当の重量を我慢して持ち運んだ。

「日本列島恋歌の旅」~梁塵秘抄と後白河院~では後白河院の今様への愛着は半端ではなく、<三度も声帯を破ってしまったというのだから、相当のマニヤ、歌キチ。プロ級の打ちこみ方といえるだろう。>と杉本苑子さんは書かれている。<艶っぽい歌詞の氾濫かと思うと、さにあらず。圧倒的な量を占めるのは神や仏への信仰歌なのだ。> さらに<したたかな策士のように見られているけれど、運に恵まれて危急を切りぬけた場合も、なるほど多い。帝王などになるより皇族のまま、グループ・サウンズでも結成し、気楽な一生を送ったほうが、あるいはお仕合せであったかもしれない。>と結んでいる。

重いおもいをしても、書物からほとばしる面白さは、それを忘れさせてくれる。

村山リウさんで思い出すのは<友人たちとの外での食事などは割り勘にさせてもらってます。はじめの頃は、多少仕事もし収入もあるので皆さんの分を払った事もあったのですが、自分の名を鼻にかけていると言われ、お金を払ってまで言われたくない。割り勘にして、ケチと言われるほうがまだいいですよね。>と言われて皆さんを笑わせていたのをなぜか覚えている。かなりの年齢になられていたが自分の意見をはっきり言われ清々しいかたであった。