神楽坂散策(1)

どちらかと言えば今回も超プチ散策である。友人三人で会う事となり何処か散策しようという事になり、神楽坂と決まった。神楽坂の細い路地はまだ歩いていなかったので好都合である。

JR飯田橋駅西口集合。行く途中の電車の中で違う仲間たち四人に会う。早稲田の穴八幡神社に行くという。ここで貰うお札を節分に張ると金銭的ご利益があるらしい。調べてみると冬至から節分までの2か月だけ授けられる、お札に「一陽来復」と書かれている。冬至、大晦日、節分の3回、夜中24時ちょうどに天井近くの壁にその年の恵方に向けて張るのだそうである。

その一人と話していたら隅田川の七福神めぐりの話となり、彼女の実家が鐘ヶ淵だという。『剣客商売』の小兵衛の住んでる所ねと言ったが通じなかった。今年の隅田川の七福神めぐりは17人連れて歩いたそうである。常磐津の『乗合船』を思い出すが、隅田川の七福神は文化文政期に、大田蜀山人や、谷文晁(たにぶんちょう)、酒井抱一といった文人たちが有名な谷中の七福神になぞらえてはじめたのだそうである。私が回った時は三囲神社から始めて多聞寺で終わったのだが、最後が淋しい感じだったと話すと、反対に回って賑やかなほうに進むのよと言われる。なるほどそうか、終わって一休みは浅草に近いほうが都合も良い。

友人達と神楽坂を歩き始める。地図の感覚よりも町並みは狭く、あれっと思うと通りを過ぎてしまい、またもどったりと説明のしようがない。最初の路地のお蕎麦屋さんに<黒龍あります>の張り紙に一人の友人は即反応を示し、このお酒なかなか出会えないとのこと。ではあなたの好みに合わせてランチの候補にしようという事になる。石畳の路地にお洒落なお店があったり、路地の奥に椿の美しい住宅があったりする。夜はまた雰囲気が変るのであろう。こちらに進みあちらに進み、毘沙門天の善国寺へたどり着く。狛犬が狛虎である。私が珍しいと言うと友人が京都にもあったよ、どこだったか忘れたけど凄く良かったよとの事。後で調べてメールをくれ、建仁寺の両足院とわかるが、思い出せない。建仁寺は京都めぐりの初期段階で行くから記憶も薄れているし、見る目が違っていたかもしれない。調べたら3月初め頃が冬季公開のようである。この善国寺は新宿山手七福神の一つでもある。由来など読んでお参りしてもどると一人の友人の姿がない。もどってくるとパンを抱えている。そういえば、あそこのパン屋さん美味しそうと言っていた。一切れづつ手渡され、お参りに来ていた男性にもおすそ分けしている。いつもの彼女らしい行動である。

そこから光照寺に向かう。途中でたわわな赤い小さな実の木が玄関脇に良い具合に覆っている。この二人は木や植物に強い関心があり、関心はあるが、名前を憶えられない者にとっては助かる。名前はピラカンサスと教えてくれる。家のかたが玄関前を掃除されていて、友人が鳥が食べに来ないんですかと尋ねると、鳥は飛びながらでは食べれないので止れる枝の回りの実を食べるので枝の近くの実は食べられますと答えてくださり、なるほどである。光照寺は歴史の古いお寺のようであるが、ここは牛込城跡でもある。牛込氏は赤坂、桜田、日比谷付近まで領有していたこともあったと説明版がある。そして地蔵坂の由来となった、木造地蔵菩薩坐像と荒削りの木像十一面観音座像の写真がある。この十一面観音坐像が良い。作者は円空と並び称された像仏聖・木食明満である。公開はされていないようである。鐘楼のそばにあるこの木は梅か桜か。枝垂れ桜に決定。