雑談から旅

ちょっとした雑談で驚くような事を聞くことがある。以前にも聞いていたのであろうが、そのことの引っ掛かりを掴めていないこともある。

かつてご近所に居たかた達と集まり話をしているうちに、彼女のお母さんがもう亡くなられておられるが、銀座生まれでお蕎麦屋さんの娘さんであったと。「銀座のどこだったのですか。」と尋ねると、「金春湯の向かい。」 え~!である。「私、銀座の銭湯には是非入らねばと思い金春湯に入ってきましたよ。」周囲の人が「銀座に銭湯があるの?」「そうなんです。あるんです。」彼女が生まれたときは、もうお母さんの実家もそこにはなかったそうである。お孫さんと銀座に行った時「おばあちゃん生き生きとしていたよ。」と娘さんが彼女に報告したそうで、やはり若い頃の自分を銀座で取り戻したのであろう。

静岡出身の仲間と冬は富士山が綺麗に見えるよねの話から、清水港から土肥までフェリーが出ていて富士を見るには良いと教えてくれる。駿河湾を富士山を見つつ横切るわけである。静岡から伊豆ね。それは素敵である。清水駅からエスパルス行きの無料バスに乗ると清水港に行ける。市内のバス停はちびまる子ちゃんの絵が描かれている。そうか、清水は次郎長さんもいるが、ちびまる子ちゃんの町でもあるのか。親戚の近くがちびまる子ちゃんの漫画家の家があり今は住んで居ないみたいだけど、ちびまる子ちゃんの漫画の町が残っているよ。いいな。漫画の町が残っているなんて。でも悲しいかな登場人物は思い出せても<町>が全然思い出せない。そこを通っても気が付かないだろう。

たまたま私が旅行パンフの切り抜きを持っていてここへ行ったことがあるか尋ねる。<加茂花菖蒲園(加茂荘)>と<花庄屋 大鐘家>である。<加茂花菖蒲園(加茂荘)>は江戸後期に菖翁(しょうおう)と称された旗本・松平定朝開発の古花が咲き誇り、<花庄屋 大鐘家>は300年以上の歴史をもち、母屋と長屋門は国の重要文化財の庄屋屋敷でアジサイの時期が良いらしい。<花庄屋 大鐘家>は彼女の実家の近くだという。行ったことはないが、看板を見た事があるよ。彼女は牧之原市出身であった。静岡県牧之原は私の頭の中に無かったので、以前にも彼女から聞いていたのだろうが聞き流していたのであろう。電車の走っていないところで、海沿いを走る国道150号線である。その先が浜岡原発。さらにその先に<ねむの木子ども美術館>がある。美しいところに原発が陣取っているのか。駿河湾と遠州灘を両脇に従えて御前崎である。山側に東海道の金谷があり、大井川鉄道である。<加茂花菖蒲園(加茂荘)>は掛川からの天竜浜名湖鉄道の方角にある。この天竜浜名湖線は「秋野不矩美術館」へ天竜二俣駅で降りて行ったので記憶に残っている。

バスも良い。東海道線真鶴駅からバスで中川一政美術館に行ったときはバスに揺られながら「岬めぐり」の歌が出できた。ツアーは楽なのであるが、記憶の中で道が切れてしまい、さらにツアーよりも安くいく方法は無いかと考える。時間を換算すると、安いかどうかは実際のところ分らない。雑談からまた、旅の青写真が増え何処かで使えそうである。

東海道神奈川宿から保土ヶ谷宿を読んでくれた友人が、<台之景>のおりょうさんが住み込んで働いていた料亭「田中家」の特別会席とお話つきのお食事の案内が横浜地域新聞に載っていたと新聞を送ってくれた。これうれしやと思ったが残念ながら予定ありの日にちであった。

情報は多いから、そこから取捨選択して自分の気に入った旅にする時間がこれまた、楽しくもあり、他の必要時間を奪う形にもなる。