十二代目の大きさ

十二代目市川團十郎さんが亡くなられた。大病を抱えて舞台に立ち続けられた。この病気については友人の家族を通じ目にしており、本人と家族の闘病の姿を知っているので、團十郎さんの舞台姿に喜び、休演に心配し、ご本人がどんなに不安と気力の狭間におられることだろうかと想像していた。舞台は道具の移動などでホコリなども多く、荒事の重い衣裳と動きで体力を消耗されるだろうによく頑張られると敬服していた。

ご自分の芸についても、病気についてもあまり深くは語られなかった。いつも穏やかにご自分の役目を熟知されているような大きさと温かみがあった。ここ数年ご自分の芸についても語られはじめ、代々続いてきたご自分の位置を踏みしめられておられるように見えた。

若くして十一代目との別れがあり、想像もつかないような鍛錬をされてこられたであろう。それを力で他の方に強要するようなことはなっかた方に思える。

荒事に身を投じられ、細やかな心理を表現する役者さんではなかったが、その事を自分に封印していたようにも思える。平成21年に国立劇場での『歌舞伎十八番の内 象引』は今までにみられない鷹揚さがあり愛嬌があり力を抜いて楽しまれている様子があり驚き、何か今までにないオーラを発していた。

あちらから成田屋の<にらみ>を発し、歌舞伎と十二代目と同じ病気で頑張られている方々に成田屋光線を届けて下さる事でしょう。

お疲れ様でした。感謝。