龍馬と握手  四国旅(2)

高知と言えば龍馬であろうが、高知駅のすぐそばに<「龍馬伝」幕末志士社中>がありNHKの大河ドラマ「竜馬伝」の時の龍馬の実家の撮影セットがこちらに設置されている。長年使われていた家を表すため木材の角は丸くなっていたり大道具の人達のこだわりがある。釘隠しなどは紫の坂本家の紋・ききょう紋になっていて、是非見てほしいと書いてあった。龍馬の姉役の寺島しのぶさんが着ていた着物が展示されていたが織りのしっかりしたもので色も柄もテレビより素敵だった(紫根地格子紬着物)。

セットを眺めつつ黒澤明さんと本多猪四郎さんのドキュメントを思い出す。黒澤さんは本多さんのことを<本多木目守>と手紙で呼びかけている。本多さんが助監督時代、大道具さんがやる木目の磨きを自分で黙々とやっていたからだそうだ。クロさんとイノさんが二人で磨く姿もあった。映画に映らなくてもリアルさを求めるのであろうが、セットを眺めていると、そこで演じる役者さんの気持ちにも反映するだろうと思われた。

そこから桂浜へ。なぜか期待していなかったのであるが、充分に龍馬への想いを沸き立たせてくれる浜辺であった。坂本龍馬記念館の入り口前に懐から右手をだした龍馬像があり、龍馬と握手してしまったのである。龍馬の手紙など資料豊富であるが、一つ一つ読んでいる時間が無い。桂浜がよく見える屋上があり、ここからの桂浜と海の地平線は美しかった。「君が踊る、夏」の病院の屋上から見える海と似ている。この場所か隣の国民宿舎からの撮影であろうか。瀬戸城天守跡があり長宗我部元親の居城とありこんな美しいところに城があったのだ。龍王岬まで行きたかったのであるが、バスガイドさんに遠いですと言われたので止めにしたが時間配分を考えれば可能であった。残念。桂浜水族館に降りてゆくと、映画「コクリコ坂から」のテーマ曲「さよならの夏」のオルゴールのような音が流れていた。桂浜をみつめる坂本龍馬像も大きくて、あの目線の高さなら相当遠くまで見通せているのだろうと龍馬を見上げてきた。期間限定で「龍馬に大接近」として高さ約13.5メートルの龍馬と同じ目線で太平洋を見る事ができる企画があるらしい。それを考えた人、仲間。