友 遠方より来たる (3)

千駄木から湯島に移動。湯島駅を出ると湯島天神が見えるが寄らなくて良いということで旧岩崎邸へ。秋には大きなイチョウの木が美しい。青空の日は下から見上げると青と黄色のコントラストが現実の時空から飛び立たせてくれる。私たちが興味惹かれたのは洋館の壁紙である。革に彩色したものと紙に彩色をしたものがあった。紙の方はおそらく何回も重ねて壁紙用としたのであろう。それをローラーで型押しし、その模様に合わせて彩色している。紙のため鮮やかな色づかいとなっている。革のほうがくすんだ趣きのある色で、住まいとしては革の色彩を皆押す。

岩崎邸は三菱財閥三代目久弥さんが住んでいた邸宅である。岩崎家の写真があり、エリザベス・サンダースホームを創立した沢田美喜さんが、後に艱難の道を選ばれたとは想像できない娘時代のふくよかな着物姿で写っている。弥太郎さんの孫であり久弥さんの娘である。大磯のプチ旅の時、沢田美喜記念館がありここだったのかと知ったのであるが時間の関係で寄れなかったが、要予約のようであり、現在は3月末まで休館のようである。友人が三菱は直系ではないのではの言葉で家系図を見ると、初代を弥太郎さんとして、二代目はその弟さん、三代目がこの家の主であり弥太郎さんの息子の久弥さん、四代目は弟の息子へとつながっている。二家族が三菱の中心だったわけである。そして、やはり政界とつながっている。

洋館から和館へと続くが今は大広間しか残っていない。和館は洋館よりもっと広く、洋館は寒かったとあるから生活は和館だったのであろう。和館を出ると広い芝生の片隅に冬ぼたんが咲いている。一つの菰囲いに二花づつ咲いている。友人がぼたんは丈の高い6月頃と思っていたというので検索したところ。冬ぼたんは冬に花がないので春ぼたんを品種改良して冬に咲くようにしたのだそうである。花は小さ目のもあるがここのぼたんは茎の細さに比べると花は大きい。芝生の庭園から見る洋館は「風と共に去りぬ」の映画を思い出してしまう。カーテンからドレスを作るスカーレット。ドレスに相応しいカーテンは見当たらなかった。洋館と離れて撞球室がある。山小屋風で友人がフクロウのようだという。入口の上がフクロウの目のようで、鱗のような装飾がフクロウの姿を連想する。この洋館の一部と撞球室はジョサイア・コンドルの設計である。河鍋暁斎とジョサイア・コンドル (1)

次が不忍通りを渡り下町風俗資料館である。近くに不忍通りに添って行くと岡倉天心の弟子である横山大観記念館もあるがそこはパスして、豪邸から一気に大正時代の庶民生活に入る。木のゴミ箱などは幼い頃目にしたものである。井戸端などから、韓流ドラマを見ている友人は外で皆で食事をするのだがあれはどんな場所なのかという。私は見ていないのだが3人はよく出てくると賛同する。韓国の家の造りなど何処かで展示すると、韓流ドラマを見ている人にとっては一層楽しくなるかもしれない。<女性たちの装いと暮らしー明治から昭和へー>展をやっていて、女性の江戸から大正の髪型の紹介もあるが、日本髪というのは誰がどういう経過でできあがったのであろうか。あの複雑さ、飾り。あの髪、着物で劣らずに動いていたのであるから感心してしまう。鎖国ということも影響しているかもしれない。あっという間に日常から日本髪は無くなるのであるから。ここで町歩きの最終とする。

町歩きと飲み会兼語らいが半々というところがベストであろうか。友人の計らいで宿は我々にとってはベストの条件で、外で飲み会をしたあと、二次会を兼ね心おきなく語り合うことが出来たのである。年とともに物事も人間関係も俯瞰してみることが少しできるようになり、以前よりも同じ状況の話も両サイドの状況が見えるようになる。年をとるのも悪くない。イベントも無事終了。この旅はパソコンの得意な友人が写真を使ってまとめてくれるだろう。これから写真は少なくの方針にそって忘備録としてして一枚にしてくれるのが嬉しい。(な~んて期待している)

次の朝、二人の友はそれぞれの予定へ、私ともう一人の友人は巣鴨に行きたいというのでとげぬき地蔵へ向かう。巣鴨から庚申塚で都電の荒川線で早稲田に向かいと考えて居たら、電車の中で、生麦のキリンビールの話が出て、彼女も生麦には行っており、では恵比寿でビールを飲もうということになる。JR巣鴨駅から江戸六地蔵尊の真性寺を通りとげぬき地蔵尊のある高岩寺へ。巣鴨地蔵通りは凄い人である。高岩寺の大例祭の日であった。日本の庶民の町が元気なことは頼もしいことである。とげぬき地蔵尊も並んでおり横からお姿を見るだけとする。本殿をお参りする。講話の終わるところであった。講話をするお寺さんも今は少ないのではないだろうか。このお寺のすぐ横に並ぶカレーうどん屋さん「古奈屋」がある。並んでいない。10時58分。11時開店である。これは好機と食べていくこととする。後ろにならんだ方は常連さんのようである。汁ではなくスープである。全て飲みほす。再び巣鴨駅に引き返し、恵比寿にある、ヱビスビール記念館へ。ここで有料のツアーと試飲がある。それを申し込んで時間まで待つつもりが、同じフロアーにビールカフェがあり、福笑いセットで二種類のビールが味わえるとある。こちらにしようと、ツアーをキャンセルしてもらいそちらに変更。やはり一杯目のビールは美味しい。もう一種類はビールカクテルということで、私たちの好みでは無かった。

本当は町歩き第二弾の予定であったが、食べ飲み歩きにしてしまった。ビールをおいしく飲める温度ということで、コートはロッカーに預け、ゆったりと飲むことができた。友人は東京都写真美術館に行きたいと思って居たので場所がわかり、ビールの飲めるところもあり、今度改めてくるとのこと。写真美術館では映画やドキュメンタリー映画も上映していて何回か来ているが、ヱビスビール記念館も穴場である。三越の建物の地下に映画館がありこの映画館も他では観られぬ映画を上映していたが閉館し、今はK・POPの専属劇場になっているようである。行ったという仲間の話は聞かないが、今度聞いてみよう。